産科医療の無料法律相談real estate
原因分析報告書 事例番号250001~250131
事例番号:250131
〇 低身長で初産婦であるハイリスク妊産婦の内診所見が、子宮口の開大5cm、展退100%、児頭の位置Sp-3cmであった時点で入院としなかったことは一般的ではない。
〇 分娩中の胎児心拍監視の間隔は一般的ではない。子宮口の開大8cm、陣痛の間欠(診療録の記載による)2分、発作30~40秒の状況でジアゼパムを投与したことは、選択されることが少ない対応である。
〇 分娩監視装置を装着した時点で、レベル3(異常波形Ⅰ)の胎児心拍数波形がみられた際、自然分娩を期待したことは一般的であるという意見と、この様な波形がいつから続いていたかが不明であるため、急速遂娩を考えなかったことは一般的ではないとする意見の賛否両論がある。
〇 胎児機能不全に対して酸素投与を行ったことは一般的である。ただし、家族からみた経過によると酸素投与は数秒間であったとされており、この場合、投与法は一般的ではない。
〇 出生時の新生児の全身色の評価は一般的ではない。
〇 マウス・ツー・マウスによる人工呼吸を行ったことは基準から逸脱している。
〇 家族の意見のとおり、ずっと背中を叩いているだけであったとすれば、新生児蘇生は医学的妥当性がない。
〇 生後3分の仮死の蘇生が優先される状況下に、必要性が不明な複合ペニシリン系抗生物質を、児が搬送された高次医療機関の診療録によると筋肉注射したとされており、この対応は、選択されることが少ない対応である。
〇 児の高体温の原因究明を行わず、保冷剤で冷却したことは一般的ではない。
〇 児は生後5分のアプガースコアが6点であり、当該分娩機関入院時より痙攣が発生していたものと考えられ、その時点での高次医療機関への搬送を考慮しなかったことは医学的妥当性がない。
事例番号:250130
〇 生後29分の早期母子接触については、低出生体重児であり、分娩直前に持続性の徐脈を認めていたこと、酸素投与が必要であり児の状態が安定しないうちに実施したことは一般的ではない。
事例番号:250129
〇 児が低酸素状態という緊急性の高い状況において、術前に胸部レントゲンや心電図を行ったことについては、母体の安全を考慮し一般的であるとする意見と、一刻も早い娩出のためにそれらの検査を省略することが一般的とする意見の賛否両論がある。
事例番号:250128
□ 学会・職能団体に対して
大規模災害や事故における女性の救護について
産科領域以外の医療従事者、救急隊等に「産婦人科診療ガイドライン-産科編2011」の「CQ902 大規模災害や事故における女性の救護は?」の内容についてさらに周知することが望まれる。
女性要救助者のトリアージの周知について
現在のトリアージの多くは「女性要救助者の妊娠の有無認識の具体的手順」が示されていない。産科領域以外の医療従事者に向けて、妊娠22週以降の妊婦であることが疑われた場合、破水、性器出血、腹痛、胎児死亡はトリアージ赤とすることを周知することが望まれる。
女性への保健指導の充実について
月経不順の際には、早期に連絡・相談、受診したりできるよう、教育や指導を行う体制を整備することが望まれる。
事例番号:250127
〇 単頸双角子宮という子宮奇形の合併妊娠であったことから妊娠21週より胎児発育不全(FGR)であったが、妊娠中の管理は基準内である。
〇 分娩方法については、胎位異常などの帝王切開の適応がないことから経腟分娩を選択したことは一般的であるとする意見と、双角子宮であり、妊娠40週のビショップスコアが低い場合は選択的帝王切開を選択することが一般的であるとする意見の賛否両論がある。
〇 挿管後も経皮的動脈血酸素飽和度に改善がみられない場合に、その原因の検索を行なわず、児をNICUに移動したことは一般的ではない。
事例番号:250126
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期隔離の発生予測、予防法、発症のメカニズムなどの検討が望まれる。
事例番号:250125
□ 学会・職能団体に対して
血圧が140/90mmHgの基準を満たさず、尿蛋白陽性のみ認められる(妊娠蛋白尿)妊産婦の予後について調査し、このような事例の取り扱いを検討し、提言することが望まれる。
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:250124
〇 独自に作成していた早期母子接触の判断基準や手順を遵守せずに、薄暗い部屋で早期母子接触を行ったことは選択されることは少ない。
〇 新生児急変後の蘇生手順と薬剤投与方法については一般的ではない。
事例番号:250123
〇 約3時間30分の間、胎児心拍数を聴取しなかったことは、基準から逸脱している。
事例番号:250122
〇 胎児心拍数波形レベル4の状況で経過観察としたことは一般的ではない。
〇 突然の高度遷延一過性徐脈出現時に、内診を行わなかったことは一般的ではない。
事例番号:250121
〇 搬送元分娩機関において、妊娠高血圧症候群と診断される状態で、一般血液・生化学検査や、血圧測定を頻回に行わなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠高血圧症候群や胎児発育不全が疑われる状況において、ノンストレステスト等により胎児の状態を判断しなかったこと、妊娠38週5日の時点で分娩様式および胎児の状態を妊産婦に説明せず、今後の方針を決定しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 胎児が骨盤位で、胎児発育不全の疑いがあり、母体搬送や新生児搬送を考慮している状況にある妊産婦からの、腹部緊満感、出血、腰痛を訴える電話に対し、少し様子をみて痛みが強くなるようであれば来院するように指示したことは医学的妥当性がない。
事例番号:250120
〇 出生直後より、バッグ・マスクによる人工呼吸を開始したことは一般的である。
〇 生後5分以降、NICUの医師が到着する生後40分までの新生児の状態に関する記録がないことは一般的でない。
事例番号:250119
〇 遅発一過性徐脈が出現しているという助産師の判読は妥当であるが、医師へ報告しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 分娩待機室に入室した直後の胎児心拍数陣痛図について、入室直前の入院時胎児心拍数陣痛図から引き続いた胎児心拍数陣痛図であることを考慮すると、遅発一過性徐脈であると判読するのが適切であり、それを軽度変動一過性徐脈と判読し、緊急帝王切開を考慮しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 新生児蘇生に関して、バッグ・マスク以外の記録が殆どなく、新生児蘇生の内容が不明であり評価できない。
〇 新生児蘇生法の判断とその結果という一連の診療録が記載されていない点は一般的ではない。
事例番号:250118
〇 オキシトシンの投与方法は基準内であるが、オキシトシンを中止したタイミングに関しては賛否両論がある。
〇 医師の到着から8分後に帝王切開を決定したのであれば、医師が到着した時点で約10分間の徐脈が持続していたことを考慮すると一般的ではない。
事例番号:250117
□ 学会・職能団体に対して
子宮に既往手術がない症例における子宮破裂は極めてまれであり、大規模な臨床的調査は殆どない。その原因やリスクファクターの抽出などに関しての調査研究が望まれる。
事例番号:250216
〇 出生当日の夜勤帯から母子同室、および母子同室での直接授乳を開始したことについては、児の状態確認および妊産婦の授乳介助を行いつつ開始しており一般的であるという意見と、母子の状態がともに不安定な時期であることから一般的でないという意見の賛否両論がある。
〇 母子同室中の注意喚起や児の観察等について十分な説明のない状況で新生児管理を委ねたのであれば一般的でない。
事例番号:250115
〇 陣痛発来入院後、胎児評価の施行法は一般的でない。
〇 入院時から午後9時30分までの胎児心拍数陣痛図は不明瞭であり、正確な胎児の評価が困難な状態で経過観察としたことは一般的でない。
〇 オキシトシンによる促進を選択したことについては、明らかな微弱陣痛とはいえず促進の適応はないという意見と、経時的な子宮収縮の状況および分娩の進行度によっては陣痛促進の適応となり得るとの意見があり、賛否両論がある。
〇 胎児の健常性評価が不十分のままオキシトシンを使用したことは医学的妥当性がない。
〇 胎児心拍数陣痛図による連続的モニターを行わずにオキシトシンを使用したことは基準から逸脱している。
〇 胎児低酸素状態が疑われるにもかかわらず、急速遂娩せずにオキシトシンを使用し続けたことは医学的妥当性がない。
事例番号:250114
〇 妊娠中の管理は概ね一般的であるが、妊婦健診時の胎児心拍数陣痛図において、一過性徐脈が認められる状況でその原因検索、および胎児の健常性を確認しなかったことは選択されることの少ない対応である。
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図において、異常な所見を呈している状況で、一過性頻脈が認められると判断し連続監視せず経過観察したことは一般的でない。
事例番号:250113
〇 胎児心拍数に異常波形が出現した際、および異常波形が持続し、分娩第Ⅱ期遷延の状態となった際に、助産師が経過観察し、医師へ報告しなかったことは基準から逸脱している。
〇 医師が、レベル5(異常波形Ⅲ)の波形が出現してから急速遂娩実施までに約2時間を要したことは劣っている。
〇 レベル4(異常波形Ⅱ)が持続している状態で、医師が胎児機能不全の判断、および急速遂娩を考慮せず、子宮収縮薬の投与を指示したこと、レベル5(異常波形Ⅲ)の波形が出現している状態で、医師が経過観察とし、子宮収縮薬を増量したことは基準から逸脱している。
〇 子宮収縮薬使用に際して、文書による同意を得なかったことは基準から逸脱している。残量が不正確である細胞外液型の酢酸リンゲル液にオキシトシンを混入したことは一般的ではない。また、記録どおり、残量350mLにオキシトシン5単位を溶解し、投与速度10mL/時間で投与を開始したとすると、初期投与量、増加量は基準から逸脱している。
〇 医師が胎児心拍数陣痛図の判読所見、および分娩第Ⅱ期遷延の原因として微弱陣痛、胎児や産道の所見、評価を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。
事例番号:250112
児の早期娩出を試みるためにクリステレル胎児圧出法を単独で行ったことは、経産婦であり妊娠34週で推定体重は約2300gで容易に娩出できると判断できるので一般的であるという意見と、回旋異常を認めており反屈位となる可能性や子宮破裂の危険性があるので一般的でないという意見があり、医学的妥当性には賛否両論がある。
事例番号:250111
〇 入院翌日、4日後の帝王切開の実施が決定され、予定通りに帝王切開で児を娩出したことは、それまでの胎児心拍数陣痛図からは、胎児の状態悪化を強く示唆する所見とも言えないことから一般的であるという意見と、入院時にはすでに両児の体重差が著明で、母体も妊娠高血圧腎症重症であり、また妊娠33週6日以降の本事例の胎児心拍数陣痛図をノンリアシュアリングと判読している状況であり一般的でないという意見の両論がある。
事例番号:250110
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図は、それまでの胎児心拍数陣痛図とは明らかに異なる異常な波形を呈しており、この状況で、原因検察および急速遂娩の実行をせず経過観察としたことは一般的でない。
事例番号:250109
〇 入院後、破水と診断し、分娩監視装置を装着し、血液検査で炎症反応の確認を行ったことは基準内である。GBS陽性妊産婦への抗菌薬の用法用量は選択されることは少ない。
〇 妊娠39週2日、血液検査で炎症反応の確認を行ったこと、高位破水と診断し分娩誘発としたこと、分娩誘発の説明と同意は一般的であるが、子宮収縮薬使用中の胎児監視については基準から逸脱している。
〇 子宮収縮薬の使用方法について、開始時の投与量は基準から逸脱している。その後のオキシトシンの用法用量は基準から逸脱している。
〇 児頭が嵌入していない状況で、急速遂娩の方法として吸引分娩を選択したことは医学的妥当性がない。
〇 また、胎児機能不全と診断される状況で経腟分娩中に胎児心拍数モニタリングを実施しなかったことは医学的妥当性がない。
事例番号:250108
〇 胸部症状および経皮的動脈血酸素飽和度の低下が認められた状況で原因検索のための検査を追加、または高次医療機関へ母体搬送することををせずに自施設で経過をみたことは、選択されることは少ない対応である。
事例番号:250107
〇 健診機関において、血液型不適合妊娠の既往があり、抗D抗体価が上昇している妊婦を一般診療所で管理したことは一般的ではない。
〇 妊娠33週の2回目の胎児輸血については胎外治療の選択肢も考慮し得る週数であり、妊娠32週5日にはサイナソイダルパターンが、妊娠33週1日には基線細変動減少と遅発一過性徐脈が出現していたことから、児の早期娩出による胎外治療を選択するとの意見もあるが、現在のところ、どちらが良いかの医学的判断は困難である。
〇 妊娠34週以降MCA-PSVの値が正常域を上回っている状態で経過観察とした判断については、早期娩出して胎外治療するとの意見と、胎児の成熟を期待して待機するとの意見があり医学的妥当性には賛否両論がある。胎児輸血について文書による説明をしていないことは一般的ではない。
事例番号:250106
〇 入院後に分娩監視装置を装着したことは医学的妥当性がある。しかしその判読と対応は基準から逸脱している。
事例番号:250105
□ 学会・職能団体に対して
胎児期発症の水頭症に関する長期予後の研究が望まれる。
事例番号:250104
〇 変動一過性徐脈、もしくは遅発一過性徐脈を早発一過性徐脈と判断したことは一般的ではない。
〇 局所麻酔に気管挿管を行わず吸入麻酔を併用したことについては、高度の胎児機能不全による緊急帝王切開であり、児を早期に娩出させる必要があったことから一般的であるという意見と、セボフルランは母体の呼吸を抑制する可能性や、胎児睡眠を起こす可能性があるため一般的ではないという意見との賛否両論がある。
事例番号:250103
□ 学会・職能団体に対して
正常新生児における血糖値評価指針の策定について
正常新生児の血糖値測定の条件や時期について指針を策定することが望まれる。
一過性高インスリン血症に関する研究について
一過性高インスリン血症の事例を集積し、病態や予防法について研究することが望まれる。
事例番号:250102
□ 学会・職能団体に対して
前置血管に関する研究について
前置血管について診断技術の開発、さらなる診断精度の向上や早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:250101
〇 妊娠32週以降、外来管理としたことについては、慎重に行えば外来管理を可とする意見と重症の胎児発育不全の原因検索や胎児の健常性の確認を行うためには入院管理を続けるべきであるという意見の賛否両論がある。
〇 入院直後の胎児心拍数陣痛図の判読において、重篤な胎児の状態が認識されなかったこと、また、その超緊急性が認識されず分娩監視装置装着から緊急帝王切開での児の娩出までに88分を要したことは、周産期母子医療センターとして基準から逸脱している。
出生直後の蘇生に関しての記録が不十分であり一般的ではない。
事例番号:250100
〇 入院時に助産師が分娩監視装置を装着し基線細変動がみられないことを報告したことは一般的であるが、助産師の報告に対し医師が直接胎児心拍数陣痛図を確認しなかったことは一般的ではない。
事例番号:250099
〇 オキシトシンの増量については、賛否両論がある。すなわちガイドラインに記されている事項からすると基準から逸脱している、という意見と、子宮口全開大の状態で陰部神経ブロックにより児頭が下降したが、血圧が上昇したため児の娩出を急ぎ、緊急避難的にオキシトシンを増量したことは選択肢としてあり得る、という意見の両論である。
事例番号:250098
〇 妊娠経過中の管理は概ね一般的であるが、「子宮内胎児発育不良」と診断した状況で、胎児計測を定期的に行わなかったことは一般的でない。妊娠40週2日破水入院後、助産師が、胎児心拍数陣痛図において基線細変動が乏しく、徐脈がみられると判断している状況で、直ちに医師に報告を行わなかったことは医学的妥当性がない。
〇 医師が、その後の胎児心拍数陣痛図で異常を認めないと判断していることを踏まえても、既破水入院の妊産婦を帰宅させたことは一般的でない。
〇 妊娠40週3日再入院後、医師が、破水後36時間以上経過し、血液検査では前日より白血球およびCRP値の上昇を認める妊産婦を再度帰宅させたことは医学的妥当性がない。
〇 妊娠40週4日、胎児心拍数陣痛図は波形レベル5異常波形(高度)で胎児の状態悪化を強く示唆する所見であり、入院からこの時点までの分娩経過を踏まえて、帝王切開が必要な状況と判断せず、経過観察としたことは医学的妥当性がない。
〇 薬剤投与について、子宮頸管熟化不全の状況でオキシトシンを開始したこと、開始後20~30分毎に20mL/時間ずつ増量したこと、胎児の健常性が保たれていると判断できない状況で継続したことは基準から逸脱している。
〇 翌日、経腟分娩の可能性が極めて少ない状況で再度オキシトシンによる分娩誘発を開始したことは医学的妥当性がない。
〇 前期破水入院後から行われたプラステロン硫酸エステルナトリウム水和物の投与の用法用量は基準から逸脱している。
事例番号:250097
〇 妊産婦の高度炎症所見に対する原因検索については、一般的であるという意見と、尿沈査、尿培養、血液培養等の検査が行われなかったため一般的ではないという意見の賛否両論がある。
〇 病院当直医から連絡を受けた産婦人科医が、内診と経腟超音波断層法を行ったことは一般的であるが、この時点で胎児心拍数を確認しなかったことは一般的ではない。
〇 入院後の管理については、分娩監視装置の装着を試み、胎児徐脈が認められ生後2時間頃より無呼吸発作、血液ガス分析で二酸化炭素分圧の上昇が認められたが、保育器内酸素投与と無呼吸発作時の一時的な刺激やバックマスクでの人工呼吸で呼吸管理を行ったことは、新生児仮死で出生した背景等を考慮すると、一般的ではない。
〇 本事例のように、重症の感染が疑われる母体から出生した児であれば、予防的に抗菌薬の投与を行うことが一般的であり、本事例において出生後に抗菌薬の投与を行わなかったことは一般的ではない。
事例番号:250096
〇 妊娠34週に非ステロイド性消炎鎮痛薬の貼付剤を処方したことは、非ステロイド性消炎鎮痛薬の投与による動脈管収縮・急性心不全を引き起こす可能性があり、添付文書、「産婦人科診療ガイドライン-産科編2008」でも指摘されていることから、基準から逸脱している。
〇 高度遷延一過性徐脈が認められ、胎児心拍数の回復がみられない状態で分娩監視装置を外したことは医学的妥当性がない。
事例番号:250095
〇 妊娠39週3日の胎児心拍数陣痛図に対して、4日後の妊娠40週0日に入院管理とし、帰宅させたことは一般的ではない。
〇 入院後に骨盤位の帝王切開の予定を妊娠40週3日としたことは選択されることは少ない。
事例番号:250094
〇 妊娠経過中のGBSスクリーニング検査に関し、切迫早産であったことから早産の可能性も考え、妊娠8週の陽性以後の再検査が32週で実施時期が早かったことはやむを得ず、その陰性をもって抗菌剤投与を省略したとすればそれもまたやむを得ないという意見と、妊娠8週の陽性以後、妊娠中に除菌しなかった状況で至適時期に再検査していないのであればGBS陽性として扱うことが現実的であるという意見の賛否両論がある。
〇 呻吟、嘔吐、低血糖、体温上昇、呼吸数上昇などへの個々の対応は選択肢としてありうるが、それらが改善せず、さらには活気も不良になっている状況で、当該施設で経過観察を続け、高次医療施設への搬送までに時間を要したことの医学的妥当性には賛否両論がある。
事例番号:250093
〇 変動一過性徐脈に対して、体位変換を行ったことは一般的であるが、その時刻の所見は、変動一過性徐脈ではなく、胎児心拍数基線は頻脈で、高度遅発一過性徐脈が出現している状態であり、この時点での胎児心拍数陣痛図の判読とそれへの対応は一般的ではない。
〇 臍帯下垂の疑いのある所見がみられた内診を行った時刻を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。
〇 緊急帝王切開決定から55分後に手術室に入室、決定から80分後に児を娩出させたことは、夜間帯であったことからやむを得ないという意見と、臍帯下垂が疑われる胎児機能不全での緊急帝王切開であることを考えると所要時間は長く、一般的ではないという意見がある。
事例番号:250092
□ 学会・職能団体に対して
一絨毛膜二羊膜双胎の管理において、神経障害発症の可能性を予測する上で、妊娠中から分娩時の胎児脳血流循環状態との関連についての臨床的評価は、世界的にも未だ十分な精度を以って行うことができないのが実情である。一絨毛膜二羊膜双胎児における脳性麻痺発症防止のための更なる研究が望まれる。
事例番号:250091
〇 ハイリスク妊娠で、妊娠高血圧症候群や胎児発育不全徴候がみられた際に、ノンストレステスト等の実施による胎児健常性の確認を行わなかったこと、母体搬送等について検討しなかったことは一般的ではない。
〇 分娩中における医師の胎児心拍数陣痛図の判読と対応は医学的妥当性がない。子宮収縮薬使用にあたり、文書による説明と同意を得なかったこと、胎児心拍数が異常波形を呈している状況で陣痛促進を行ったことは基準から逸脱している。
事例番号:250090
〇 妊娠40週0日、微弱陣痛の診断で、ジノプロストンによる分娩促進を行ったこと、使用前に妊産婦の同意を得たとされており一般的である。しかし、投与量と、プラステロン硫酸エステルナトリウム水和物を併用投与したことは基準から逸脱している。
〇 午後2時35分からはレベル3(異常波形Ⅰ)であり、ジノプロストンの投与を継続し、胎児心拍数モニタリングを行いながら経過観察としたことは選択されることは少ない。
〇 午後3時20分頃、レベル4(異常波形Ⅱ)であり、酸素投与を中止したことは一般的でない。
事例番号:250089
〇 入院後の管理には、帝王切開決定までの分娩経過の評価と治療方針の決定にいたる経過に関して、担当医の入院診療録の記載がないこと、また看護記録も不完全であることは、医学的妥当性がない。
〇 そのため、陣痛発来から緊急帝王切開決定までの経過に関しては評価できないが、入院直後より出現した一過性徐脈が認識されておらず、胎児心拍数陣痛図の判読は基準から逸脱している。
〇 新生児蘇生に関する医師の記録が入院診療録に記載されておらず、医学的妥当性がない。蘇生を含めた新生児管理に関する診療録記載が極めて不十分であるため、診療内容の具体的な評価はできないが、新生児仮死を認めたこと、臍帯静脈血ガス分析結果、持続性の呻吟と反復する無呼吸発作、無呼吸発作に伴い経皮的動脈血酸素飽和度低下が生じたことなどを考慮すると、気管挿管を含めたより集中的な新生児呼吸管理が必要であった可能性が高く、新生児搬送を依頼した後、酸素投与と無呼吸発作のたびに刺激をして経過観察を行ったことは、一般的ではない。
〇 臍帯血による血糖値測定で新生児低血糖を示唆する所見に対して、その後の新生児血糖値の測定を行わなかったことは、新生児仮死および後期早産児であったことを考慮すると医学的妥当性がない。
事例番号:250088
□ 学会・職能団体に対して
絨毛膜羊膜炎および胎児の感染症や高サイトカイン血症は脳性麻痺発症に関係すると考えられているが、そのメカニズムは実証されておらず、また絨毛膜羊膜炎の診断法、治療法はいまだ確立されていない。これらに関する研究を促進することが望まれる。
事例番号:250087
〇 妊娠中の管理について、家族歴に糖尿病がある妊婦に対し、妊娠中期に妊娠糖尿病スクリーニングを実施しなかったことは、一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図で、胎児の健常性が確認できない状態と判断しながら経過観察したことについては、原因検索等を行ってしばらく経過をみてから帝王切開を判断するという意見がある一方、速やかに帝王切開を実施するとの意見が存在し、賛否両論がある。
事例番号:250086
〇 妊娠中、高血圧を認めているにもかかわらず、再検査や自宅血圧測定指示などを行わずに経過観察としたことは一般的でない。
〇 妊娠29週以後、胎児頻脈を認めており、病的な頻脈かどうか、NSTなどによる鑑別をせずに経過観察としたことは一般的でない。
〇 胎児頻脈、軽度および高度遅発一過性徐脈と軽度変動一過性徐脈を認めた時点で、分娩監視装置をはずしたことは基準から逸脱している。
〇 また、翌日妊娠40週3日に繰り返す軽度変動一過性徐脈を認めた時点で、経過観察としたことは、胎児心拍数陣痛図は偽陽性率が高いため、異常を認めてもその後回復すれば経過観察するという考えと、胎児低酸素症が疑われたのであれば、急速遂娩を考慮するという考えがあり、賛否両論がある。
〇 妊娠40週3日に繰り返す高度遷延一過性徐脈、高度変動一過性徐脈および高度遅発一過性徐脈を認めた時点で、吸引分娩などの急速遂娩をせずにオキシトシン投与により分娩を促進したことは一般的でない。
事例番号:250085
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
常位胎盤早期剥離事例を自施設で帝王切開するのが良いか、周産期母子医療センター等に母体搬送するのかに関して、種々の条件と母児の予後を疫学的な研究から検証を進めることが望まれる。
ウ.妊娠高血圧症候群に対する塩分および水分制限の効果や安全性に関して、EBMの視点から検討することが望まれる。
事例番号:250084
□ 学会・職能団体に対して
一絨毛膜二羊膜性双胎における脳性麻痺の原因究明と予防措置に対する研究を強化することが望まれる。
事例番号:250083
〇 陣痛開始後、助産師が高度遅発一過性徐脈を早発一過性徐脈と判断し、医師に報告せず経過観察したことは基準から逸脱している。
〇 その報告を受けた医師が、高度遷延一過性徐脈を変動一過性徐脈と判断し、急速遂娩の準備をせず経過観察したことは基準から逸脱している。
〇 医師が常位胎盤早期剥離を疑いながらもリトドリン塩酸塩点滴を投与して経過観察したことは、帝王切開術実施までの間の胎児蘇生を目的としたリトドリン塩酸塩点滴ではなく、医学的妥当性がない。
事例番号:250082
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離に関する研究 常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:250081
〇 妊娠11週のスクリーニングにおいて風疹抗体価は高値で、トキソプラズマ抗体(IgG抗体)が陽性であったことに対し、精査を実施せず経過観察としたことは一般的ではない。
〇 妊娠39週1日の受診後の胎児心拍数陣痛図の判読は、良くてもレベル3(異常波形Ⅰ)と判断され、その判断は一般的ではないという意見と、判読の難しい波形でありレベル1(正常波形)またはレベル2(亜正常波形)と判断したことは一般的であるという意見があり、賛否両論がある。
〇 新生児蘇生のための炭酸水素ナトリウムの用法用量、出生後の搬送時期についてはそれぞれ一般的ではない。
事例番号:250080
〇 妊娠糖尿病の可能性を示唆した後に当該分娩機関へ紹介したことは、分娩機関選択は妊産婦の意向を尊重することがありやむを得ないという意見と、妊娠糖尿病はハイリスクであるため助産所には紹介できないことを明確に示すべきであるという意見があり、医学的妥当性には賛否両論がある。
〇妊娠糖尿病と診断している状況で、医師が管理すべき対象者であるとせず、その後も妊娠分娩経過を当該分娩機関に委ねたことは一般的でない。
〇 当該分娩機関で、妊娠糖尿病の診断後も妊娠分娩経過を当該分娩機関でみていたことは基準から逸脱している。
〇 分娩開始による入院から分娩までの7時間25分の間の胎児心拍数の聴取が、4回のみの聴取間隔であったことは一般的でない。分娩前2時間の経過がパルトグラムに記載がないことは医学的妥当性がない。
〇 新生児仮死に対し、吸引、皮膚刺激、および足底叩打の蘇生を行ったことは一般的であるが、回復を認めないままその処置を繰り返したこと、人工呼吸を行わなかったことは医学的妥当性がない。
〇 第2度新生児仮死での出生から救急車要請までに14分を要したことは一般的でない。
事例番号:250079
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離に関する研究について
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研
究を推進することが望まれる。
常位胎盤早期剥離に関する保健指導について
常位胎盤早期剥離に関する保健指導について、産科医・助産師など
産科医療関係者に引き続き周知することが望まれる。
事例番号:250078
□ 学会・職能団体に対して
交通事故による妊産婦の健康被害の現状分析について
常位胎盤早期剥離を含む交通事故による妊産婦の健康被害について現状分析の実施と対策を検討し、情報提供や指導が望まれる。
シートベルトの着用方法について
妊婦のシートベルトの着用に関して、「産婦人科診療ガイドライン-産科編2011」の周知・徹底が望まれる。
事例番号:250077
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:250076
〇 子宮収縮薬の初期投与量、増加量は「子宮収縮薬による陣痛誘発・陣痛促進に際しての留意点」に準拠した方法であるが、その後の過強陣痛および胎児心拍数波形がレベル4(異常波形Ⅱ)の状態で子宮収縮薬の投与を継続したことは基準から逸脱している。
〇 血液検査の結果、経過観察が可能とする判断は妥当であるという意見と、分娩方法の変更を行わず、経過観察したことは一般的ではないという意見の賛否両論がある。
〇 子宮口全開大以降、胎児機能不全や過強陣痛の所見を認識せず分娩管理を行ったことは基準から逸脱している。児の健常性が確認できない状況での母体へのミダゾラム、ペンタゾシンの投与は一般的ではない。
〇 吸引分娩が不成功に終わったため、吸引分娩を中止したことは基準内であるが、その後クリステレル胎児圧出法を単独で反復して実施したことは医学的妥当性がない。
〇 新生児蘇生について生後13分に心拍数は60回/分以下で、胸郭の上がりが悪いことが確認されており、この時点で気管挿管チューブの位置が適正であるかを再確認せずに経過したことは基準から逸脱している。
事例番号:250075
〇 蒸留水100mL注入のメトロイリンテル挿入中に連続監視しなかったこと、挿入後の分娩監視装置装着から28分でジノプロストンの投与を行ったことは基準から逸脱している。
〇 プラステロン硫酸エステルナトリウム水和物とジノプロストンとの併用は基準から逸脱している。
〇 ジノプロストンおよびオキシトシンの投与量、投与速度は基準内であるが、投与中に連続監視していなかったことは基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数陣痛図で明らかに異常を呈した所見であったときに、助産師が医師への報告を速やかに行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 子宮口全開大でない状態で、クリステレル胎児圧出法を行ったことは一般的でない。
〇 臍帯脱出が認められた時点で直ちに急速遂娩を同時進行せず、臍帯還納を行ったことは一般的でない。
事例番号:250074
〇 妊娠35週の妊娠糖尿病を合併した妊産婦にベタメタゾンを投与したことは一般的ではない。
事例番号:250073
〇 視診のみで破水の診断をしたことは選択されることが少ない対応である。
事例番号:250072
〇 妊娠24週の妊娠糖尿病スクリーニング検査において、陽性であった際に診断検査を施行しなかったこと、および妊娠40週6日の外来受診時の胎児心拍数陣痛図の判読は一般的ではない。
〇 外来受診時の胎児心拍数陣痛図所見から、入院管理を決定したことは基準内であるが、胎児心拍数モニタリングを中断したことは、基準から逸脱している。胎児機能不全の状態でオキシトシン負荷試験を行い、さらなる負荷をかけたこと、オキシトシン投与開始後、遅発一過性徐脈が頻発していた状況で、オキシトシンの減量または中止せず、増量し続けたことは医学的妥当性がない。
〇 出生後自発呼吸がみられない状態で、気管挿管するまでの4分間、酸素投与のみ行ったことは、基準から逸脱している。
〇 重症新生児仮死である状況で、新生児搬送の依頼が生後42分であったことは、一般的ではない。
事例番号:250071
〇 妊娠中から児頭骨盤不均衡の可能性を考慮せず、分娩方針を検討しなかったことは一般的ではない。
〇 適応がない状態で、子宮収縮薬の投与を開始したことは一般的ではない。
〇 子宮収縮薬の使用について、文書による妊産婦への説明と同意の取得を行わなかったこと、分娩監視装置を連続的に装着しなかったことは基準から逸脱している。
〇 投与方法は基準から大きく逸脱している。
〇 ジノプロストン錠内服50分後からオキシトシン点滴を開始したことは一般的ではない。
〇 プラステロン硫酸エステルナトリウム水和物とオキシトシンを併用して投与したことは基準から逸脱している。
〇 出生約1時間40分前以降、子宮収縮波形を記録せずに分娩監視を継続したことは一般的ではない。
〇 出生約2時間30分前以降の胎児心拍数陣痛図の判読と対応には医学的妥当性がない。
〇 適応がない状態で、子宮口全開大前からクリステレル胎児圧出法を行ったことには医学的妥当性がない。
〇 アプガースコアの判定方法が正しくなかった可能性がある。一方、家族からの意見のとおりであった場合、保育器管理と酸素投与を行ったのみで経過観察としたことは一般的ではない。
事例番号:250069
□ 学会・職能団体に対して
臍帯脱出に発生頻度、発生時の状況などについて、全国的な調査を促進し、その予防方法および発生時の対応について提言をまとめることが望まれる。
事例番号:250068
〇 入院時の分娩監視装置装着から30分間の対応については、報告がなかったために医師が胎児心拍数の異常パターンを認識しておらず一般的ではないという意見と、本事例のような胎児心拍数パターンを評価するためには20~30分程度の観察を要するため一般的であるという意見の賛否両論がある。
〇 その後、分娩までの判断と対応については、経産婦で分娩の進行が期待できると判断したのであれば、厳重な観察と胎内蘇生を行いつつ、吸引分娩による急速遂娩を選択したことは基準内であるという意見と、急速遂娩の必要性とその緊急性の認識が十分でなかった可能性がであり一般的ではないという意見の賛否両論がある。
事例番号:250067
〇 家族からみた経過によると、生後10時間頃は、児は全く泣いておらず、少しも吸啜しなかったとされており、そのとおりであったとすれば、児の状態を確認せず、医療従事者が十分に観察していない状況で母子接触を行わせたことは一般的ではない。
〇 帝王切開が行われた当日に1時間以上にわたり、母子のみの状況で、児に乳首の吸啜をさせたことについては、本事例が発生した当時は出生直後の児の全身状態が急激に変化する事象についての報告が少なく、明確な基準もなかったことから一般的であるという意見と、母子の状態がともに不安定な時期であることから一般的ではないという意見との賛否両論がある。
事例番号:250066
〇 オキシトシン投与は、初期投与量、増量の間隔は基準内であるが、増量の量については基準から逸脱している。
〇 オキシトシン中止後、基線細変動の減少、高度遅発一過性徐脈が出現し、レベル4[異常波形(中等度)]となっている。その後約5時間30分にわたり、基線細変動の減少が続いており、急速遂娩に向けての準備・行動を行わず分娩経過をみていたことは医学的妥当性がない。
〇 胎児機能不全と診断できる状況でのオキシトシンの使用、高度遅発一過性徐脈が頻発する状況でオキシトシンの投与を継続したことは基準から逸脱している。
事例番号:250065
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:250064
〇 妊産婦からの腹部の痛み等に関する電話に、救急外来で対応し、産科医や助産師が直接妊産婦の状態を判断しなかったことは一般的ではない
事例番号:250063
〇 胎児心拍数が記録されていない箇所や不明瞭な記録が多く、胎児状態の把握が困難なまま分娩監視装置を外したことは一般的ではない。
〇 分娩第Ⅱ期遷延となった後、出生約2時間前から出生まで、産道、胎児の状態について記録しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 子宮収縮薬の投与に際して文書による説明を行い、同意を得たことは一般的であるが、投与方法は基準から逸脱している。
〇 出生34分前以降の胎児心拍数陣痛図の判読と対応は基準から逸脱している。分娩第Ⅱ期遷延となり、子宮収縮薬の投与を開始した後、胎児状態が把握できない状態のまま分娩監視装置の装着を継続したことは医学的妥当性がない。
〇 痙攣重積が出現していた可能性がある状況で、酸素投与、nasalCPAPの装着のみを行い、痙攣に対する治療を行わなかったことは基準から逸脱している。
事例番号:250062
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究
を推進することが望まれる。
事例番号:250061
〇 時間経過とともに徐々に胎児の状態が悪化していると判断した状況で、間欠的胎児心拍数聴取としたことは一般的でない。
〇 妊娠39週5日の一過性徐脈の出現をもって帝王切開を決定したことは、妊娠39週4日からの胎児心拍数陣痛図は特異なパターンで判読困難でありやむを得ないという意見と、妊娠39週4日の胎児心拍数陣痛図は、それまでの記録と明らかに異なる異常所見であり急速遂娩をすべきであったという意見と賛否両論がある。
〇 アドレナリンの気管内投与量が少なかったことは一般的でない。
事例番号:250060
〇 帝王切開既往妊婦の経腟分娩に際して、文書による説明と同意を得なかったことは基準から逸脱している。
〇 また、家族からみた経過によると、妊娠39週1日に分娩方針を決める予定であったとされており、このとおりであったとすると、分娩方針決定の時期は一般的ではない。
〇 TOLAC(帝王切開既往妊婦の試験経腟分娩)が選択され、入院時の主訴に不正出血がある状況で、分娩監視装置による連続的胎児心拍数モニタリングを行わなかったことは基準から逸脱している。胎児の徐脈を確認した後、緊急帝王切開を決定したことは一般的である。
〇 出生から搬送の連絡が行われるまでに1時間17分を要したことは一般的ではない。
事例番号:250059
〇 子宮収縮薬の使用中に妊産婦の観察を適宜行ったことは一般的であるが、この間にバイタルサインチェックを行わなかったことは一般的ではない。
事例番号:250058
〇 入院時に認められる遅発一過性徐脈に対する指示が明確でなかったこと、分娩進行中の胎児心拍数陣痛図の判読として胎児心拍数基線細変動と徐脈を中心に行わなかったことは一般的ではない。
〇 午後9時30分頃から胎児心拍数基線細変動の減少を認めたが連続モニタリングを行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 翌日午後4時頃から胎児心拍数基線細変動の減少と高度遅発一過性徐脈が認められた状況で経過観察したことは一般的ではない。
〇 陣痛促進を行ったことは、胎児心拍数波形でレベル3~4の異常波形が認められていることから選択されることの少ない対応である。
〇 ジノプロストの投与開始量、微弱陣痛の診断でジノプロストからオキシトシンに変更したこと、オキシトシンの投与開始量は基準から逸脱している。
〇 ジノプロスト終了後に引き続きオキシトシンを投与したこと、妊産婦の体温測定等の結果を診療録に記録しなかったことは一般的ではない。
〇 ノルアドレナリンとアドレナリンの投与方法については一般的ではない。
事例番号:250057
〇 搬送元診療所での妊娠中の管理について、診療録に胎盤の付着位置や羊水量、臍帯についての記載がないことは一般的ではない。
〇 妊娠32週が妊娠後期に比べ基線細変動が小さいことから胎児の健常性が保たれているか否か判断しにくいという意見があり、基線細変動が減少している所見を正常と判読し、経過観察を続けたことには、賛否両論がある。
〇 母体搬送を最終的に決定するまで一時的に分娩監視装置を外した時間があったことは、一般的ではない。
〇 児の体温を35.5~36.5℃に保つ管理が行われたことに対しては、在胎週数36週未満の児が脳低温療法の実施基準から除外されていることから一般的ではないという意見と、脳低温療法にはあたらないとする意見の賛否両論がある。
事例番号:250056
□ 学会・職能団体に対して
分娩監視方法の基準の作成について
本事例のようなローリスク妊娠の分娩第Ⅰ期に、分娩監視装置を装着するタイミングや装着時間、間欠的胎児心拍数聴取法の聴取間隔等、分娩監視方法に関する基準を作成することが望まれる。
事例番号:250055
〇 骨盤位経腟分娩を選択したことは基準内であるが、文書による同意を取得しなかったことは基準から逸脱している。
〇 分娩約40分前に一過性徐脈が出現した際、胎児心拍数陣痛図に子宮収縮が記録されていないこと、胎児心拍数陣痛図の判読を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。
事例番号:250054
〇 報告を受けた医師が18分後に診察を行ったことは、臍帯脱出という緊急を要する状況を考慮すると一般的ではないが、当該分娩機関がオンコール体制であったことを考慮するとやむを得ない。
事例番号:250053
〇 妊娠中の管理、入院の指示ならびに入院後の管理は一般的である。助産師の胎児心拍数陣痛図の判読については一般的ではない。
〇 医師が助産師からの数度の胎児心拍数の変化の報告に対し、直接胎児心拍数陣痛図を確認あるいは診察をしなかったことは一般的ではない。
事例番号:250052
〇 妊娠管理として、糖尿病スクリーニングをHbA1Cにより行ったことは選択されることが少ない対応である。
〇 分娩管理において、妊娠高血圧症候群の降圧剤の使用については概ね基準内であり、投与後も血圧のコントロールができていない状況で、他剤への変更を行わなかったことは当時の使用可能薬剤を考えるとやむを得ない。
〇 そのような状況では当該分娩機関での分娩管理は困難と判断するのが一般的であり、高次医療機関への母体搬送を検討しなかったことは選択されることの少ない対応である。
〇 陣痛促進を行ったことについては、感染予防、妊娠高血圧症候群の合併の観点から、早期の娩出を期待して行うことは基準内であるが、子宮収縮薬の初期投与量は基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数陣痛図において、急速遂娩の準備または実行がもとめられる状況で、PGF2αによる陣痛促進の下経腟分娩を続行したことは医学的妥当性がない。
〇 吸引分娩の方法は一般的ではない。
事例番号:250051
〇 帝王切開既往妊婦の経腟分娩について口頭のみで説明したことは基準から逸脱している。
〇 帝王切開既往妊婦の経腟分娩中の大部分の時間、分娩監視装置を外したことは一般的でない。
〇 入院時の胎児心拍数陣痛図の判読と対応は一般的ではない。
〇 手術記録に子宮破裂の有無について記載しなかったことは一般的ではない。
事例番号:250050
〇 低置胎盤からの出血がみられる妊産婦への対応として、約6時間以上、分娩監視装置を装着しなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠33週で低置胎盤からの出血が増量したため帝王切開となった際に、診療録に胎盤の所見や手術時に高次医療機関のNICUの医師が立ち会ったことを記載しなかったことは一般的ではない。
事例番号:250049
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:250048
〇 入院時の胎児心拍数陣痛図は、胎児心拍数の欠損が多く正確に記録されておらず、この記録で胎児の健常性を判断したことは一般的ではない。
〇 FDPの異常高値等についての対応は、検査結果がいつ医師に届いたか不明であり評価できない。手術決定から開始まで88分を要していたことは、胎児心拍数陣痛図をリアシュアリングと判断したことが影響しており、一般的ではない。
事例番号:250047
〇 入院時の胎児心拍数陣痛図は、胎児心拍数の欠損が多く正確に記録されておらず、この記録で胎児の健常性を判断したことは一般的ではない。
FDPの異常高値等についての対応は、検査結果がいつ医師に届いたか不明であり評価できない。
〇 手術決定から開始まで88分を要していたことは、胎児心拍数陣痛図をリアシュアリングと判断したことが影響しており、一般的ではない。
事例番号:250046
〇 臍帯脱出の確認後、臍帯還納を試みたことは選択されることの少ない対応である。
〇 急速遂娩法として吸引分娩を選択したこと、オキシトシンによる陣痛促進を行ったことは医学的妥当性がない。
〇 妊娠中に絨毛膜羊膜炎の診断がされていたが、胎盤の病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 胸骨圧迫、ボスミンを投与せずに、2倍希釈メイロンを投与したこと、および生後5分の時点において心拍数が100拍/分以上である状況で胸骨圧迫を開始したことは、日本周産期・新生児医学会の推奨する新生児蘇生法に準じておらず、一般的ではない。
事例番号:250045
〇 既往妊娠・分娩歴として妊娠糖尿病があり、また今回の尿生化学検査で尿糖陽性がみられたことに対して、糖負荷試験を行わなかったことは一般的でない。
〇 分娩監視装置装着直後から胎児心拍数波形のレベル分類はレベル3異常波形(軽度)であったが、助産師は基線細変動(+)と判断していることから、その時点で医師に報告をしなかったことはやむを得ないという意見と、胎児心拍数基線170拍/分の頻脈で一過性頻脈が乏しいと異常所見の判断もしていることから、その時点で医師に報告をしなかったことは一般的でないという意見があり、医学的妥当性には賛否両論がある。
事例番号:250044
〇 入院時と外出から帰院後の対応は一般的である。胎児徐脈が確認される前の約2時間30分の間胎児心拍数の確認を行わなかったことは、活動期にあり妊産婦がパニック気味になっているなど、分娩が進行していたことを考慮すると医学的妥当性がない。
〇 子宮口全開大から22分後に自然の努責のみで児を娩出したことについては、胎児徐脈が認められ子宮口が全開大という状況であれば、吸引分娩や鉗子分娩による急速遂娩を行うという意見と、分娩経過から速やかに児を娩出できると考えたのであれば、母体の産道損傷や児の頭蓋内出血等のリスクを考え、急速遂娩を行わず自然の努責のみで児を娩出するという意見の賛否両論がある。
事例番号:250043
〇 妊娠37週4日の胎児心拍数陣痛図では、胎児機能不全の所見ではないため分娩監視装置の装着を中止し経過観察としたことは一般的という意見と、必ずしも胎児の健常性が保たれていたとは判断できない状態であり連続監視せず分娩監視装置の装着を中止したことは一般的でないという意見の賛否両論がある。
〇 胎児の健常性が保たれているとは判断できない所見に対して、胎児機能不全の状態と判読しなかったことは一般的でない。
〇 特異な心拍数パターンと頻回の遅発一過性徐脈という胎児機能不全を非常に強く示唆する所見である心拍数波形を、「スパイク状の徐脈がみられ基線細変動も少なめ、変動性一過性徐脈」とのみ判断し、胎胞の破水で緑色の羊水混濁(2+)を認めるまで経過観察していたことは医学的妥当性がない。
〇 自発呼吸なく重症新生児仮死で出生した児に対し、生後2分までバッグ・マスクによる人工呼吸を開始しなかったことは一般的でない。
事例番号:250042
〇 発熱を認めた後の胎児心拍数聴取の間隔は一般的であるが、聴取した胎児心拍数所見を診療録に記載しなかったことは一般的ではない。
事例番号:250041
〇 妊婦健診における診療は基準内である。診療録に身長や妊娠中に行った検査等についての記載がないことは一般的ではない。
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。
事例番号:250039
〇 子宮口の開大1cm、児頭の位置Sp-3cmの状態に対し人工破膜を行ったことは選択されることの少ない対応である。
〇 胎児心拍数波形のレベル分類でレベル5異常波形(高度)である時点から医師到着までに40分を要したことは一般的でない。
〇 第2度新生児仮死で出生した児に対し、早期母子接触を図ったことは一般的でない。
事例番号:250038
〇 家族からみた経過によると、既往歴に脳下垂体腫瘍があり、妊娠中に倦怠感、動悸、多飲・多尿、激しい腹痛があったとされており、この経過であった場合、水分制限、鉄剤およびリトドリン塩酸塩を処方して経過観察とし、高次医療機関や専門医への相談を行わなかったことは医学的妥当性がない。
〇 バッグ・マスクによる人工呼吸からマウス・ツー・マウスによる人工呼吸に変更したことは基準から逸脱している。
事例番号:250037
〇 胎児心拍数パターン異常出現時に、オキシトシンの中止および急速遂娩を行わずに酸素投与および体位変換処置のもとで経過観察としたことは、選択されることは少ない。
〇 出生直後の初期処置、新生児科医への応援要請のタイミングおよび新生児科医による一連の蘇生処置などは一般的である。
〇 重症新生児仮死で出生した本事例において早期母子接触を施行したことは選択されることは少ない。
事例番号:250036
〇 子宮収縮薬投与中、分娩監視装置を装着せず増量したことは基準から逸脱している。
〇 帝王切開を決定する40分前、遷延一過性徐脈が出現している状況で、保存的処置および急速遂娩の準備を行わずに経過観察としたことは一般的ではない。
〇 また、その15分後に再度遷延一過性徐脈が出現した際、医師への連絡が15分後であったことについては、その間胎児心拍の確認、酸素投与などの対応に時間を要したと考えられるものの、一般的ではない。
事例番号:250035
〇 経過中約5時間分娩監視装置を中断したことは、中断以前の胎児心拍数陣痛図で胎児機能不全の可能性が否定できないこと、子宮口が5~6cmまで開大し分娩が進行していることから一般的ではないという意見と、ネオメトロ脱出後にやや痛みが楽になったと判断したのであれば、必ずしも分娩監視装置の装着は必要ないという意見があり、医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 吸引分娩を行ったことは、明確な適応が存在しないため一般的ではない。
事例番号:250034
〇 常位胎盤早期剥離は、母児救命の観点から早急に児を娩出することが求められる疾患であり、胎児心拍数波形にも基線細変動の減少と遅発一過性徐脈がみられ、可及的速やかに児の娩出をはかる必要があったため、緊急帝王切開決定から児娩出までに約2時間かかり、その間母体搬送を検討しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 生後15分まで経皮的動脈血酸素飽和度は80%程度で回復しておらず、児の状態が改善しない状況で、蘇生方法の見直しを行わなかったことは一般的ではない。
〇 また、常位胎盤早期剥離が疑われ、胎児心拍数陣痛図波形からは出生後に高度な蘇生が必要となる可能性が考えられ、分娩前から、新生児科医の分娩立会い依頼も含め、新生児搬送を想定した対応をする必要があり、生後7分に新生児搬送を依頼したことは一般的ではない。
事例番号:250033
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的でない。
事例番号:250032
〇 妊産婦の基本情報を診療録に記載しなかったこと、および既往歴、家族歴を把握していなかったことは基準から逸脱している。
〇 生後約30分に後弓反張がみられたことに対し、当該分娩機関で治療し経過観察としたことは一般的でない。
事例番号:250031
〇 妊婦健診時に高血圧が疑われているが、自宅での血圧測定を指示し、正常であることを確認しており、高血圧への対応は一般的である。妊娠35週以降に外来での経過観察としたことは一般的であるとする意見がある一方で、発育があるものの胎児発育不全が疑われていたことや高齢妊娠でハイリスクであったことなどからNSTやBPPを実施せずに経過観察したことは一般的でないとする意見があり、賛否両論がある。
〇 リトドリン塩酸塩の点滴に関しては、胎児蘇生を目的としたものであれば選択肢の一つであるとする意見がある一方で、翌日の無痛分娩の予定に合わせる目的であれば基準から逸脱しているとする意見があり、賛否両論がある。
〇 胎児心拍数陣痛図で軽度・高度変動一過性徐脈または高度遅発一過性徐脈が頻発しているようにみえる時点で、急速遂娩を考慮するとする意見がある一方で、胎児機能不全と診断することは難しい胎児心拍パターンであるとする意見もあり、経過観察の後に帝王切開を決定したことには賛否両論がある。
事例番号:250030
〇 胎児心拍数の下降か母体音か判別がつかない状況で分娩監視装置を外したことは一般的でない。
〇 陣痛発来している経産婦に対し、グリセリン浣腸を行ったことは臍帯脱出、墜落分娩のリスクを考えると医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 分娩50分前頃の対応については、胎児心拍数陣痛図の波形を遅発一過性徐脈とする意見がある一方、胎児心拍数基線のとり方によっては、一過性頻脈とすることもあり判読は難しいとの意見があり、急速遂娩を行わず経過観察したことは賛否両論がある。
事例番号:250029
〇 妊娠38週前後に帝王切開施行予定と説明したことは一般的ではない。
〇 妊娠高血圧腎症は、妊娠34週2日の夕方の血圧が180/108mmHgであり、妊娠34週3日の朝より嘔気・気分不良があることから、重症とみるべきであり、この時点で経過をみたことは選択されることが少ない。
〇 また、妊娠34週3日の分娩監視装置による連続監視終了後から約1日間連続監視による胎児の健常性の確認を行わなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠34週4日に頭重感、高血圧がある状況でヒドララジン塩酸塩の投与で保存的に経過をみたこと、胎児心拍数基線の低下が認められている状況で胎児心拍数の連続監視を中断したことは一般的ではない。
〇 重症妊娠高血圧腎症の痛みを伴う子宮収縮増強に対して、リトドリン塩酸塩投与を行ったことは、常位胎盤早期剥離や胎児の肺成熟を考慮すると一般的ではない。
事例番号:250028
〇 アミノグリコシド系抗生物質を破水例に予防的に使用したことは一般的ではない。破水例の投与方法として筋肉内注射をしたことは一般的ではない。
〇 陣痛誘発開始に際して、同意書を得ていなかったこと、分娩監視装置による胎児心拍数陣痛図を連続記録していなかったこと、オキシトシンの投与方法は基準から逸脱している。
〇 高度遅発性一過性徐脈を認めた胎児の状態改善を目的として母体へ炭酸水素ナトリウム注射液を投与したこと、吸引分娩を約40分間続けたこと、および新生児蘇生として炭酸水素ナトリウム注射液2.5mLを20%糖水2.5mLで溶解したものを投与したことは一般的ではない。
事例番号:250027
〇 搬送元分娩機関において、妊娠33週に外来で経過観察としたことについては、収縮期血圧と胎児推定体重は正常範囲内であり、拡張期血圧も妊娠高血圧症候群の診断基準の下限値であることから一般的であるという意見と、妊娠高血圧腎症が否定できず、胎児推定体重が低めで推移していたことから入院管理や高次医療機関への紹介を行うべきであり一般的ではないという意見があり、賛否両論がある。
〇 血圧の再測定や尿蛋白の確認検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠31週以降、尿蛋白が連続して陽性であり、妊娠36週に胎児推定体重の上昇がなく、SDが基準値よりも低くなったにもかかわらず、ノンストレステスト等の実施による胎児健常性の確認を行わなかったことは一般的ではない。
事例番号:250025
〇 微弱陣痛と診断しオキシトシンによる陣痛促進を行ったこと、およびその使用方法は一般的であるものの、過強陣痛と判断される状況で投与量の調整を行わなかったことは一般的でない。
〇 午後2時40分以降の胎児心拍数陣痛図において遅発一過性徐脈を認識しなかったことは一般的でない。
事例番号:250024
〇 妊娠中に腟分泌物培養検査を一度も行わなかったことは一般的ではない。
〇 経口子宮収縮薬の投与開始時は微弱陣痛の状態とは判断できず、微弱陣痛であることを理由に経口子宮収縮薬を投与したことは、選択されることが少ない対応である。
〇 経口子宮収縮薬の投与方法については、文書による説明を行わず、規定量を超えて投与し、投与中に分娩監視装置を連続して装着しておらず、基準から逸脱している。
〇 陣痛波形が記録されない状態のまま胎児心拍数モニタリングをしたことは一般的ではない。
〇 吸引分娩を行ったことは選択肢のひとつであるが、胎児心拍数が徐脈となっている状態で繰り返し吸引分娩、クリステレル胎児圧出法を行ったことは医学的妥当性がない。
〇 出生後の児に刺激と人工呼吸を行ったことは一般的であるが、気管チューブの固定を妊産婦の家族が行う状況で、2回気管挿管が成功しなかった際に蘇生方針の見直しを行わなかったことは一般的ではない。
事例番号:250023
〇 急速遂娩の準備、または施行が求められる状況となった以降の対応については、経腟分娩を目指し、経過観察した判断は選択肢としてありうるものの、その後も胎児機能不全の状態が持続しているにもかかわらず、急速遂娩の準備や施行をしなかったことは一般的ではない。
事例番号:250022
〇 帝王切開の術式に関しては、妊娠28週で前置胎盤、子宮の下節が形成不良、骨盤位という条件下では、一般的には最初から体部縦切開あるいは子宮体部横切開が行われるため、子宮下部横切開を行ったことは選択されることが少ない対応である。
事例番号:250021
〇 妊産婦の血圧が回復した直後の硬膜外麻酔の実施は、選択されることの少ない対応である。
〇 新生児蘇生として、分泌物の吸引と酸素投与を行ったことは一般的であるが、炭酸水素ナトリウム注射液の投与を、代謝性アシドーシスの有無等を評価せず行ったことは一般的ではない。
事例番号:250020
〇 出生後の蘇生処置に関して、診療録に時系列詳細記載がないことは一般的でない。
事例番号:250019
〇 妊娠中に尿糖が複数回みられていたが、ブドウ糖負荷試験を行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 その後の胎児心拍数陣痛図でレベル5(異常波形高度)がみられたにもかかわらず、経腟分娩を継続したことは医学的妥当性がない。
〇 胎児心拍数がレベル5(異常波形高度)となった後にオキシトシンの投与を開始したこと、および初期投与量は基準から逸脱している。
〇 血性羊水を認めた際に超音波断層法により常位胎盤早期剥離を検索しなかったことは一般的ではない。
事例番号:250018
〇 分娩監視装置による連続モニターの中断後、約5時間胎児心拍を確認しなかったことは、この間活動期(active phase)であったと考えられることから一般的ではない。
〇 急速墜娩の実施にあたり、発症時期の不明な重症の胎児機能不全が持続した状態で、児頭が十分に下降していない段階からクリステレル胎児圧出法を反復したことは医学的妥当性がない。
〇 新生児蘇生に関しては、診療録に記載されたとおり、バッグ・マスクによる人工呼吸、胸骨圧迫を行ったのであれば一般的である。一方、家族からみた経過のとおり「児の両足を持ち、逆さにして足の裏をたたいていた」という処置を行ったのであれば基準から逸脱している。
事例番号:250017
□ 学会・職能団体に対して
重症妊娠高血圧症候群および妊娠高血圧腎症に対する食事療法の必要性、分娩時期、薬剤の投与に関して、EBMの視点から再検討することが望まれる。
事例番号:250016
〇 医師の判断については、OCT判定基準を満たす子宮収縮周期に達していないことを考慮すると、注意深く経過観察しながらOCTを続行することとする意見がある一方で、心拍数基線細変動の減少を伴う軽度遅発一過性徐脈が認められた時点で胎児機能不全と診断し、OCTの中止、酸素投与および体位変換を行うこととする意見があり、本事例における医師の判断には賛否両論がある。
〇 子宮収縮がOCT判定基準を満たし「OCT陽性」と判断される胎児心拍数陣痛図所見を示した以降もOCTを続行したことは一般的でない。
〇 児の娩出後、胸骨圧迫を開始したのは出生13分後からであり、本処置の開始時期は基準から逸脱している。
事例番号:250015
〇 高位破水、切迫早産、胎児発育遅延と診断し、当該分娩機関単独で妊娠33週5日の妊産婦の入院治療を行ったことは選択されることは少ない。
〇 分娩誘発におけるジノプロストンの適応は一般的であるが、分娩誘発中は分娩監視装置を用いて子宮収縮と胎児心拍を連続モニターし、陣痛増強の程度および胎児の状態を評価する必要があり、分娩監視装置を2時間17分間装着しなかったことは基準から逸脱している。
〇 胎児徐脈であるときに、助産師が医師の指示なく単独で人工破膜を行ったことは一般的でない。生後1分のアプガースコアは1点(心拍1点)の児の蘇生に際し、バッグ・マスクによる人工呼吸を行わなかったことは一般的でない。
事例番号:250014
〇 妊産婦の身長、非妊娠時体重が診療録に記録されておらず、把握していないことは一般的ではない。
〇 双胎の胎児心拍数陣痛図の管理として、どちらの児の心拍か不明のまま管理したことは医学的妥当性がない。
〇 第1子分娩後のⅡ児の心拍評価は医学的妥当性がない。胎児心拍数を把握しないまま経腟分娩を続行したことは医学的妥当性がない。オキシトシンは、「子宮収縮薬による陣痛誘発・陣痛促進に際しての留意点」の使用方法に沿っているが、胎児心拍数を把握しないまま、継続、増量を行ったことは基準から逸脱している。
事例番号:250013
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:250012
〇 分娩中の管理では、胎児心拍数陣痛図上、高度遷延一過性徐脈が認められた時点で急速遂娩の準備が必要であったが、その後も、基線細変動が減少し、高度遅発一過性徐脈、高度遷延一過性徐脈が出現しているにもかかわらず、急速遂娩の準備を行わず経過観察としたことは医学的妥当性がない。
〇 新生児蘇生については、気管挿管、ボスミンの気管内投与等が行われたが、生後約1時間にわたって心拍数と経皮的動脈血酸素飽和度の改善が認められず、このような状態で蘇生方法の見直しを行わなかったことは一般的ではない。
事例番号:250011
〇 前期破水への対応は分娩誘発の時期、方法ともに一般的である。胎児心拍数陣痛図の所見で変動一過性徐脈を早発一過性徐脈と判読したことは一般的ではない。
〇 分娩時にほぼ全開大で努責を開始させたことは賛否両論がある
事例番号:250010
〇 オンコール医師が、助産師からの胎児心拍数低下の報告から到着までに15分間を要したことは一般的でない。
〇 「手コルポ」により胎児心拍の回復が認められなかったにもかかわらず、その時点で急速遂娩を行わなかったことは一般的でない。
事例番号:250009
〇 ボスミンを投与した時期については一般的ではない。
事例番号:250008
〇 入院直後の胎児心拍数陣痛図で、遅発一過性徐脈や遷延一過性徐脈を早発一過性徐脈、変動一過性徐脈と判読し、帝王切開の準備を行わなかったことは一般的ではない。
〇 臍帯脱出確認後に臍帯還納を試みたことは、臍帯還納が児の予後に関して良いというエビデンスはないため選択されることは少ない。
〇 帝王切開決定から児娩出までに56分を要したことは、平均的な時間であるものの、入院直後から遅発一過性徐脈や遷延一過性徐脈が散見され緊急帝王切開が必要になる可能性が高い状態が続いていたことや、当該医療機関が周産期母子医療センターの指定を受けていたことを考慮すると一般的ではない。
事例番号:250007
〇 妊娠中に一度も腟分泌物培養検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 入院前の電話対応および入院時に分娩監視装置による胎児心拍数モニタリングを行ったことは一般的であるが、胎児心拍数陣痛図の判読と対応は一般的ではない。
〇 常位胎盤早期剥離の疑いで緊急帝王切開決定後、妊産婦にリトドリン塩酸塩を投与したことは、胎児低酸素状態の改善および胎盤剥離の進行の抑制という利点があるため一般的であるという意見と、添付文章上は禁忌とされていること、子宮を弛緩させることにより出血を増大させる可能性があることから一般的ではないという意見があり、賛否両論がある。
事例番号:250006
〇 分娩誘発のインフォームドコンセントについて、副作用について説明せず、口頭で行ったことは基準から逸脱している。
〇 プラステロン硫酸ナトリウム水和物について子宮収縮薬との同時投与は一般的ではない。陣痛誘発、陣痛促進に際し、プロスタグランジンF2α、オキシトシンを選択したことは医学的妥当性がある。
〇 プロスタグランジンF2α、オキシトシンの開始時投与量、増量、投与中のバイタルサインを1時間毎にチェックを行っていないこと、子宮収縮薬使用時に胎児心拍数の記録を連続で実施しなかったことは基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数が聴取できないと判断した時点で医師に報告せず、胎児心拍数が不明のまま経過したことは一般的ではない。
〇 胎盤病理組織学検査を行わなかったことは一般的ではない。
〇 新生児蘇生については詳細な記載がなく評価できない。
事例番号:250005
□ 学会・職能団体に対して
子宮内で何の自覚もないうちに胎児に障害が発生したと考えられる事例である。このような事例の発生を予防するための方策についての臨床的検討に取り組むことが望まれる。
事例番号:250004
〇 胎児心拍数基線細変動の消失、一過性徐脈が認められながら経過観察としたこと、3時間近く胎児心拍モニターを装着しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 当該分娩機関に妊産婦と家族だけで自家用車にて移動させたことは一般的ではない。
〇 入院後すぐに帝王切開を決定したことは基準内であるが、手術が重なったとしても決定から 1 時間半後に手術開始となった対応は一般的ではない。
〇 胎児心拍数の低下をサイナソイダルパターンと判読したことは基準から逸脱してい
る。
事例番号:250003
〇 入院時、羊水過少と胎児心拍数モニタリング異常があり、厳重な監視下での分娩が必要な状況にあったにもかかわらず、分娩監視装置を外した期間があたったことは一般的ではない。
〇 微弱陣痛の診断で子宮収縮薬による陣痛促進を行ったことについては、羊水過少で胎児モニタリング異常が認められる状況ではタイミングとしてはよくないとする意見がある一方、まだ監視の強化が必要とされる段階であり子宮収縮薬による陣痛促進もあり得るとする意見の賛否両論がある。
〇 子宮収縮薬投与から4分後に胎児心拍数モニタリングを開始したことは基準から逸脱している。
〇 帝王切開決定のタイミングについては、胎児心拍数陣痛図の判読において、基線細変動は“中等度”とする見方と“減少”とする見方があり判読が極めて難しいことから、監視の強化でよいとする意見がある一方、もう少し早い段階での対応が必要とする意見の賛否両論がある。
〇 基線細変動消失と判断しながらも帝王切開決定から手術開始までに要した時間は一般的ではない。
事例番号:250002
〇 破水後の妊産婦に対して約6時間にわたって、分娩監視装置の装着および胎児心拍の聴取を行わなかったことは選択されることは少ないという意見がある一方、分娩経過に特に異常が認められなかったので連続監視する必要はないとする意見があり、賛否両論がある。
〇 子宮口の開大が8~9cmの時点で中等度変動一過性徐脈の所見が認められたが陣痛促進剤を中止せず、増量したことに関しては一般的ではないとする意見がある一方、早急に分娩を終結させるためには選択肢としてあり得るとする意見があり、賛否両論がある。
事例番号:250001
□ 学会・職能団体に対して
双胎間輸血症候群やそれに類似した事例の胎児評価法とそれに基づく母体・胎児管理、分娩のタイミング等について、わが国の事例を集積・解析し、エビデンスに基づいたわが国の臨床管理指針を作成することが望まれる。
谷直樹法律事務所
〒160-0003
東京都新宿区四谷本塩町3番1号
四谷ワイズビル1F
TEL 03-5363-2052
FAX 03-5363-2053