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がんの見落とし法律相談real estate



がんの見落とし法律相談
「がんの見落とし」は,過失が明らかでも,損害額の算定が難しいことが多い医療事故です。患者が生きているうちは損害が確定しないとも考えられますが,できるだけ生存中に解決したほうがよいと思います。患者側弁護士へのご相談は早いほうがよいと思います。

ご相談予約は  
03−5363−2052
相談予約mailは medicallawtani @ yahoo.co.jp
相談申込み手順は コチラ
         
土曜・日曜・祝日も相談を行っております。



がんの見落とし事件の特徴

■ 原因別の類型

がんの見落としの原因は,@主治医が画像診断報告書を読まない,A医療者間の連絡ミス,B医師が画像の評価を読み誤る,C適時の検査を行わないなどです。

■ @・Aの類型
1 損害賠償
@・Aの類型は,より精密な検査を実施すべきだったのにそれをしなかった注意義務違反が認められます。さらに,因果関係と損害があれば,損害賠償を検討することになります。
見落としがなかった場合について,統計資料に基づき,平均的な生存期間を,がんの部位・種類,見落としの期間等を考慮して推定することになります。

2 再発防止策
医療過誤事件は,単なる損害賠償請求にとどまらず,再発防止,医療の質の向上につなげることが,重要と思います。
@主治医が画像診断報告書を読まない,A医療者間の連絡のミス,については,医師個人の問題というより,たとえば次のように病院のシステムを改善することで,再発が防止され,医療の質が向上すると思います。
(1) 画像読影医が緊急度の高い所見を指摘する症例はそう多くはありません。
緊急度の高い所見の場合,(@)直接検査依頼医に電話し所見を伝える,(A)検査依頼医が所属する診療科の責任者に報告書を送付する。
(2) 患者参画を導入する。主治医など説明を担当する医師は,患者が希望しない場合を除き,原則として画像診断報告書を患者に渡し,その結果を丁寧にわかりやすく患者に説明し,その旨を診療録に記載する。
* 実際に,患者に分かりやすく表現した」患者用診断報告書」を主治医が患者に交付している大学病院もあります。

■ Bの類型
1 損害賠償
画像診断は,画像検査の性質上の限界と読影する医師の読影能力の限界があり,完璧なものではありません。
B医師が画像の評価を読み誤る類型については,医療水準に照らして注意義務違反(過失)にあたるか否かを検討する必要があります。(1)当該医療機関の種類・性格,(2)職場の検診か,人間ドックか,症状を訴えての受診か,などを考慮し,(3)専門家医師の協力を得て,医師であれば前方視的にがんを疑うレベルの画像か否か,を検討して過失の有無を判断します.
がんの疑いを抱き,より精密な検査を実施すべきだったのにそれをしなかった注意義務の違反が認められる場合と認められない場合があります。
さらに,因果関係と損害があれば,損害賠償を検討することになります。見落としがなかった場合について,統計資料に基づき,平均的な生存期間を,がんの部位・種類,見落としの期間等を考慮して推定することになります。実務的には,損害額の評価が難しいのががんの見落とし事案の特徴です。

2 再発防止策
医療過誤事件は,単なる損害賠償請求にとどまらず,再発防止,医療の質の向上につなげることが,重要と思います。
画像読影の精度を維持するために,ガイドライン,マニュアル,指針等で,画像診断の方法が定められています。その中には,疑問のあるものおあり,改訂が望まれます。例えば,肺がん検診の東京都の指針(原則一方向撮影)では見落としの危険が大きく,一方向撮影が望まれます。
専門診療科の医師を含む複数医師が読影すること,比較読影を徹底すると,画像読影の精度は向上するはずです。

■ Cの類型
Cは,損害賠償,対策ともに難しい類型です。
一般に,検査は,症状とリスクに応じて実施されます。
ところが,早期発見が望まれるがんは,早期であれば症状がなく,症状があれば進行しています。そのため,症状より,年齢,性別,遺伝的要因,発がん物質への曝露等のがんのリスクの評価が重要となります。ただし,裁判所は,症状を重視していますので,裁判例は進行したがんの見落としが多いように思います。
この類型で実際に注意義務違反(過失)が問題になるのは,がんを疑わって経過観察を実施している場合,経過観察を早く終了した場合です。ガイドライン等を参照し,医療水準に照らして,専門家医師の意見を聞いて,検査を実施すべき注意義務違反(過失)の有無を検討します。
さらに,因果関係と損害があれば,損害賠償を検討することになります。見落としがなかった場合について,統計資料に基づき,平均的な生存期間を,がんの部位・種類,見落としの期間等を考慮して推定することになります。



■ 当事務所の解決事件例
1 横浜地裁平成17年9月15日判決
横浜地裁平成17年9月15日判決は,長期間通院していたC型肝炎ウイルス陽性の患者の肝細胞がんを見落とした事案で,約3000万円の賠償が認めました(判例タイムズ1249号198頁)。肝細胞がん見落とし事件の中では初期の判決です。現在では,肝細胞がんの知見も普及し,治療法も進歩しましたので,このような通院中の肝細胞がん見落としが争われることはほぼ無くなったように思います。
 
2 東京地裁平成18年4月26日判決
東京地裁平成18年4月26日判決は,胸部レントゲン写真に写っていた陰影を医師が見落とし,翌年別の医療機関で肺がんの疑いを指摘され,さらに別の病院で手術をうけ生存している事案で,5年生存率低下による慰謝料400万円と弁護士費用50万円計450万円を認めました(ケースファイル3・140頁)。その後,東京高裁で総額550万円の和解で確定しています。この判決は,今でも生存例について参考とされているようです。

3 東京地裁令和4年12月26日判決
東京地裁令和4年12月26日判決は、原告の胸部CTに映っていた結節影は、原則として確定診断を実施すべき大きさであり、3日間の喀痰細胞診を行っても、結核菌の排菌はなく、肺癌も鑑別が必要な疾患として検討されていたのであるから、結核か肺癌かを確定診断するため、気管支鏡検査が必要な状況であったといえ、原告について、気管支鏡検査の適応を否定するような事情はなかったのであるから、被告医師は、気管支鏡検査の実施を決める注意義務を負っていたというべきである、と認定しました。
因果関係について「肺癌の臨床経過は初診時の病期(ステージ)と関連しており、無症候性症例を早期発見することは、生存予後を改善するものと一般的に考えられており、検査を実施しなかったことにより肺癌の発見が遅れた場合には、当然、その間に肺癌が進行し、それに伴って予後が悪化し、5年生存率も低下し得るから、具体的予見は可能であり、結果予見義務及び結果回避義務はあるというべきである。」と判示しました。

4 その他
肺がん、胃がん、十二指腸がん、胆嚢がん、肝細胞がん、膵臓がん、腎臓がん、悪性リンパ腫、骨髄腫、乳がん、子宮がんの見落としについて多数担当してきました。がんの見落とし事件は、過失が明らかなことが多いので、多くの場合、示談、ADR、裁判上の和解で解決しています。


医療法律調査

■ 事故調査(全国対応)・・・調査手数料33万円(消費税込み)と実費預り金10万円(余剰金は返金します.)
当該科医師1名にカルテ・画像検査の記録を検討いただき,専門的医師としての意見を聞きます.

医療交渉
着手金・・・16万5000円(消費税込み)
報酬金・・・示談金の15〜20%+消費税

医療訴訟
着手金・・・55万円(消費税込み)
報酬金・・・賠償金(遅延損害金含む)の25〜30%+消費税