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原因分析報告書 事例番号260001~260100
事例番号:260100
〇 児頭の下降のみの所見で回旋を確認せず、吸引分娩を開始したのであれば一般的ではない。吸引分娩中に21分間持続した徐脈に対し、胎児心拍数を回復させず、吸引分娩、クリステレル胎児圧出法を続けたことは選択されることの少ない対応である。
〇 当該分娩機関において、胎児心拍数陣痛図所見は、胎児心拍数基線145拍/分、基線細変動は正常、高度遷延一過性徐脈があり、これを指針にあてはめてみるとレベル4であり、対応と処置として保存的処置の施行および急速遂娩の準備または急速遂娩の実行とされており、児頭の位置がSp+3cmまで下降していると判断し、急速遂娩として吸引分娩を行ったことは選択肢としてあり得るが、直ちに緊急帝王切開が行える状態にせず、また、児頭の回旋を確認せず16分間吸引分娩を続けたことは一般的ではない。

事例番号:260099
〇 破水後の入院の際に、医師が内診や胎児心拍数陣痛図を含めた妊産婦の情報をもとにTOLACの妥当性について評価することなく、助産師のみが分娩管理を行ったことは医学的妥当性はない。
〇 入院時より医師が分娩管理していなかったことは基準から逸脱している。
〇 血性羊水を認めたにも関わらず、他の分娩方法を検討せずにTOLACを継続したこと、妊婦の疼痛の訴えの増強とともに、胎児心拍数陣痛図が徐々に不完全な記録となった時点で、医師がTOLAC継続の妥当性と緊急帝王切開術の適応の評価を行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 急速遂娩術を施行するまでの入院後の一連の経過に関して、TOLACの管理として医師の診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数を聴取できないほど急激に悪化した状況を考慮すると、5回の吸引分娩は選択肢としてありうるが、吸引分娩の際の内診所見の記載がないことは一般的ではない。
〇 クリステレル胎児圧出法の併用は、既往帝王切開術後妊娠であることを考慮すると選択されることは少ない。急速遂娩術の施行を診療録に記載していないことは一般的ではない。
〇 出生後、NCPRに沿ったアドレナリンの投与がなく、更に換気が機能していない気管挿管の状態を認識していながらバッグ・マスクに切り替えをせず、再度気管挿管を試みた新生児蘇生は一般的ではない。

事例番号:260098
〇 子宮収縮薬の初期投与量ならびに増加量は基準から逸脱している。

事例番号:260097
〇 腟分泌物培養検査に異常を認めない状況で、カンジダ腟炎として妊娠28週から妊婦健診の毎に抗真菌薬の腟座剤を投与したことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図所見の判読と対応、および監視を行った医療スタッフの職種について診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 妊娠41週3日の破水後、レベル3(異常波形・軽度)の状態が継続している状況で子宮収縮薬を投与し続けたことも一般的ではない。
〇 塩酸リドカインによる中毒症状の可能性がある状況で、塩酸リドカインを投与し続けたことも一般的ではない。
〇 レベル5(異常波形・高度)の状況で急速遂娩を実行しなかったことは基準から逸脱している。
〇 異常所見を認める状況で生後6時間まで自施設管理を続けたことは一般的ではない。

事例番号:260096
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離に関する研究について
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:260095
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、および予防方法や早期診断について、研究を行うことが望まれる。

事例番号:260094
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、および予防方法や早期診断について、研究を行うことが望まれる。

事例番号:260093
〇 妊娠33週5日に前置胎盤の周産期管理目的で当該分娩機関へ紹介としたことには、一般的であるという意見と少し時期が遅く一般的ではないという意見の賛否両論がある。
〇 生後2日、人工呼吸器のチューブトラブルの有無を確認後、人工呼吸等で改善がみられない時点で、すぐに鑑別診断を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:260092
〇 分娩開始前の胎児心拍数陣痛図について、NICHD(アメリカ国立小児保健発達研究所)が提案したカテゴリー分類を用いて評価したことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図上、胎児の健常性は確認されておらず、正確に評価するために更なる検査の実施、または継続的な胎児心拍数のモニタリングを行わなかったことは基準から逸脱している。
〇 妊産婦と相談し帰宅としたことは一般的ではない。
〇 妊娠39週2日の胎児心拍数陣痛図の結果から診断名を胎児切迫仮死としたことは一般的ではない。

事例番号:260091
〇 入院時に分娩監視装置を装着して胎児の健常性を確認した後、次の分娩監視装置装着まで約9時間空いており、さらに間欠的児心拍聴取の間隔も1時間40分ないし2時間空いていることから、胎児心拍の聴取間隔および方法は基準から逸脱している。
〇 破水時ならびに間欠的児心拍聴取で頻脈を認めた際の分娩監視の方法も基準から逸脱している。

事例番号:260090
〇 常位胎盤早期剥離の疑いで母体搬送を決定した後、妊産婦にリトドリン塩酸塩を投与したことには、胎盤剥離の進行の抑制という利点があるため一般的であるという意見と、出血を増大させる可能性があることから一般的ではないという意見の賛否両論がある。

事例番号:260089
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の研究について常位胎盤早期剥離に関して、新しい診断技術の開発、さらなる診断精度の向上や早期診断に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:260088
□ 学会・職能団体に対して
母児間輸血症候群の病態、原因等の解明について
母児間輸血症候群の発症について、その病態、原因、リスク因子の解明が望まれる。
母児間輸血症候群の胎児心拍数陣痛図の研究について
胎児心拍数基線細変動の変化およびサイナソイダルパターンの出現や一過性頻脈の変化など、母児間輸血症候群に特有の胎児心拍パターンの有無について、胎児心拍数陣痛図の特徴を研究することが望まれる。
母児間輸血症候群への新生児対応について
現在の蘇生法ガイドラインでは循環血液量減少による循環不全への対応法が十分に示されているとは言えず、母児間輸血症候群は対応しにくい疾患の代表となっていると思われる。本疾患への新生児の対応法についても検討され、改正されることが望まれる。

事例番号:260087
〇 搬送元分娩機関受診後の看護スタッフの対応は、家族からみた経過の通りだとすれば一般的ではない。

事例番号:260086
〇 妊婦健診の際の診療録の記録が、異常所見のみ記載していること、胎児心拍数陣痛図を保存していないことは一般的ではない。
〇 医師が胎児心拍数陣痛図を判読し、帝王切開術を決定したこと、帝王切開を決定してから手術開始までの時間は一般的である。しかし、看護スタッフが、胎児心拍の異常を判断しているにもかかわらず、約2時間半後に医師へ報告したことは一般的ではない。またその状況で新生児仮死の分娩でありながら、胎児心拍数陣痛図が保存されていないことは基準から逸脱している。
〇 バッグ・マスクで経皮的動脈血酸素飽和度が改善していないにもかかわらず、バッグ・マスクのみ続行したことは一般的ではない。

事例番号:260085
□ 学会・職能団体に対して
研究への支援について
本事例のような分娩前に発生する中枢神経障害に関する研究を推進することが望まれる。臍帯過捻転は子宮内胎児死亡、胎児発育不全、胎児機能不全に関与することがある臍帯異常のひとつとされているが、全国的な臨床的調査は殆どない。合併症の頻度などの調査研究が望まれる。

事例番号:260084
〇 児の健常性が確認できていない状態で、分娩監視装置を中止したことは医学的妥当性がない。

事例番号:260083
□ 学会・職能団体に対して
一絨毛膜一羊膜双胎の診断及び適切な管理に対する研究を推進することが望まれる。

事例番号:260082
□ 学会・職能団体に対して
本事例では、妊娠39週のNSTでノンリアシュアリングであった。今後、事例の蓄積・研究により、NSTの実施時期および実施回数の検討を進めていくことが望まれる。

事例番号:260081
〇 陣痛発来後、入院から分娩に至るまで経過観察とし、自然分娩で娩出としたことも一般的である。しかし、胎児心拍数陣痛図に子宮収縮が記録されておらず、分娩監視装置の装着方法は一般的ではない。

事例番号:260080
〇 入院時の胎児心拍数陣痛図は、胎児心拍数波形レベル分類のレベル4(異常波形・中等度)に相当し、超音波断層法を実施しているが、約2時間半分娩監視装置を装着せずに経過観察したことは、基準から逸脱している。
〇 出生後に高度な蘇生が必要となる可能性が考えられ、NICU医師の到着を待って帝王切開を開始するという意見と、待たずに帝王切開するという意見があり、帝王切開決定から手術開始までに65分要したことには賛否両論がある。

事例番号:260079
〇 妊娠39週1日および妊娠39週4日に、妊産婦が胎動減少を訴えている状態で、NST等で胎児の健常性を確認しなかったことは基準から逸脱している。
〇 高度の貧血に対してすぐに輸血を行わなかったことは基準から逸脱している。

事例番号:260078
〇 オキシトシンの増量間隔についての医師の指示は基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数陣痛図が異常波形である状態でオキシトシンによる陣痛促進を開始・続行したことについては一般的ではない。

事例番号:260077
〇 胎児機能不全による緊急帝王切開決定後から手術室に入室するまで52分を要したことは一般的ではないという意見と、院内の体制を考慮すればやむを得ないとする意見の両論がある。
〇 児が娩出するまでに、手術室入室から40分要したことについても、もう少し早い時間での娩出が望まれるという意見と、院内の体制を考慮すればやむを得ないとする意見の両論がある。

事例番号:260076
□ 学会・職能団体に対して
本事例のような突然発症する胎児徐脈症例の集積を行い、より適切な分娩中の胎児管理指針の作成が望まれる。

事例番号:260075
〇 分娩経過中の管理については、胎児心拍数陣痛図記録に、変動一過性徐脈が観察されており、約1時間分娩監視装置を外したことは一般的ではない。その後、オキシトシン点滴による分娩誘発を開始したことは、その時点で高度遅発一過性徐脈が出現しており、胎児の状態を更に悪化させる可能性があるため基準から逸脱している。
〇 軽度変動一過性徐脈と判読したのであれば、胎児の状態を更に悪化させる可能性があるため使用しないという意見と、胎児機能不全の疑いがあると判断された状態であっても子宮口が全開大で児頭の位置がSp-1~-2cmであり、経腟分娩可能と判断し使用するという意見の賛否両論がある。
〇 オキシトシン点滴の初期投与量については、基準から逸脱している。
〇 吸引分娩については、児頭が嵌入せず、十分下降していない位置から吸引分娩を行ったことは基準から逸脱している。
〇 初回の急速遂娩術が不成功に終わり、依然児頭が嵌入・下降していないSp-1cmの時点で、帝王切開を選択せず鉗子遂娩術を選択したことは基準から逸脱している。

事例番号:260074
〇 一過性徐脈が認められる状態で再度分娩監視装置を装着するまでに時間を要していることは一般的ではないという意見と、食事のために分娩監視装置を外したことはやむを得ないとする意見の両論がある。

事例番号:260073
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、および予防方法や早期診断について、研究を行うことが望まれる。

事例番号:260072
〇 分娩誘発の手段としてメトロイリンテルを選択したことは、選択肢のひとつであるが、メトロイリンテル挿入後にオキシトシン点滴を開始したことは選択肢されることの少ない方法である。
〇 分娩誘発剤の初期投与量は基準から逸脱している。
〇 分娩誘発に際し、分娩監視装置を連続的に装着して、子宮収縮の状態や胎児の状態を観察していなかったこと、バイタルサインチェックを適宜行わなかったことは一般的ではない。
〇 破水した頃の胎児心拍数陣痛図を、医師へ報告せずに経過観察したことは、一般的ではない。
〇 吸引分娩実施時の適応と要約は満たしているが、急速遂娩術として吸引分娩を開始するも児が娩出に至らない時に、他の急速遂娩方法に変更せずに繰り返し吸引分娩を継続したことは一般的ではない。

事例番号:260071
〇 オキシトシンの開始時投与量や増量は基準から逸脱している。
〇 分娩誘発決定から分娩まで5日を要したことは、児の健常性の悪化がないため経過を観察しながら誘発を続行すべきであるという意見と、分娩誘発が必要であると決定した以上は頸管熟化や子宮収縮薬への反応が不良な場合には分娩様式を変更しても一定の期間内に児を娩出すべきであるという意見の賛否両論がある。

事例番号:260070
〇 メトロイリンテルの使用に際し、入院後に実施したこと、抗菌薬を投与したこと、陣痛発来時に分娩監視装置を装着したこと、固定時の注入量は一般的であるが、臍帯脱出に関する説明と同意について記載がないこと、メトロイリンテルの挿入時、脱出時に臍帯下垂や臍帯脱出の確認について記載がないこと、分娩監視装置を装着していない時間帯があること、臍帯脱出を確認した際に母体搬送としたことは基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数陣痛図でレベル5(高度異常波形)が認められ、内診で臍帯らしきものを触知した時の対応については急速遂娩を考慮しなかったことは基準から逸脱しているとの意見があるが、一方で、先に母体搬送を考えたことはやむを得ないとする意見の両論がある。

事例番号:260068
〇 搬送元分娩機関において、妊娠37週6日、胎児発育不全を認める状況でNSTや羊水量の検査を行わなかったことは一般的ではない。妊娠38週0日、分娩監視装置を中止し帰宅させたことは一般的ではない。
〇 妊娠38週1日、入院後、GBS陽性に対して、セフカペンピボキシル塩酸塩水和物を経口投与したことは基準から逸脱している。
〇 午前0時から出現した高度遅発一過性徐脈を診断していないことは一般的ではない。
〇 当該分娩機関において、入院後、分娩監視装置を装着したことは一般的であるが、子宮収縮が正確に記録されていない可能性がある箇所があり、プローブを装着し直さなかったことは一般的ではない。
〇 経腟分娩を試みたことについては、基線細変動が減少し、変動一過性徐脈が認める状況で、胎児発育不全があることを考慮し帝王切開を決定するという意見と、分娩進行を認めており当該分娩機関の帝王切開に要する時間を考慮すると、経腟分娩を試みるとする意見の賛否両論がある。

事例番号:260067
〇 医師が、妊産婦の腹痛が増強してきたとの報告に対して、妊産婦の状態を評価せずニフェジピンの投与を指示したこと、白衣高血圧の可能性があると判断したことは一般的ではない。

事例番号:260066
〇 胎児心拍数陣痛図上、約3時間以上基線細変動の減少が続く状況において、その波形を基線細変動の減少と判断しなかったこと、及びこの時点で原因検索や保存的処置を施行しなかったことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数が100拍/分前後を示す状況において、分娩監視装置の装着状態の確認、調整、及び胎児心拍数と母体音との判別等の対応をしなかったことは一般的ではない。

事例番号:260065
〇 妊娠39週0日、高度変動一過性徐脈が出現後、基線細変動の減少および軽度遅発一過性徐脈が反復している際の対応が記録になく、帝王切開の準備がされていたのであれば基準内であり、もし帝王切開の準備がされていなかったのであれば一般的ではない。
〇 帝王切開の開始が高度遷延一過性徐脈の発生から1時間41分が経過していたことについては、胎児心拍数陣痛図が回復している状況では緊急で行う必要はないという意見と、その後の回復にかかわらず速やかに帝王切開すべきとする意見の賛否両論がある。

事例番号:260064
〇 子宮収縮薬使用中に分娩監視装置を長時間外していたことは基準から逸脱している。
〇 妊娠40週3日、胎児心拍数陣痛図上、胎児低酸素状態を疑う所見が出現している状況で、分娩監視装置による胎児心拍数モニタリングを終了し、間欠的胎児心拍数聴取を行わない状態で経過観察としたことは一般的ではない。

事例番号:260063
〇 胎児心拍数70拍/分まで低下する高度変動一過性徐脈を認め、30秒ほどで100拍/分に回復したために経過観察したことは一般的であるが、その後遷延一過性徐脈が出現したときに原因検索等を行わなかったことは一般的ではない。
〇 胎児の徐脈が持続している状況で吸引分娩または帝王切開による急速遂娩を実施せず、オキシトシン点滴を開始したことは、胎児の状態をさらに悪化させる可能性があり、医学的妥当性がない。
〇 また、オキシトシン点滴の投与法は推奨されている初期投与量を上回っているため、基準から逸脱している。
〇 オキシトシン点滴による陣痛促進などの診療行為に対する適応や妊産婦への説明について、診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 臍帯還納が児の予後に関して良いという根拠はなく、臍帯脱出を確認した際、すぐに急速遂娩を行わずに臍帯還納を繰り返したことは一般的ではない。

事例番号:260062
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発症機序の解明、および予防法や診断法に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:260061
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:260060
〇 切迫早産に対して当帰芍薬散を投与したことは選択されることの少ない対応である。
〇 胎動減少を訴える妊産婦の受診を翌日としたこと、電話対応の内容を診療録に記載していないことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数基線細変動が消失、一過性頻脈が認められない状態で体位変換や腹部刺激を行ったことは一般的であるが、回復しない状態で一旦ノンストレステストを終了したことは基準から逸脱している。
〇 超音波断層法を行ったことの医学的妥当性については、手術を準備する間に胎盤の確認やBPSから胎児の状態を評価するべきとの意見と、胎児心拍数陣痛図から明らかな胎児中枢神経障害の所見がみられる状況では、可及的速やかに帝王切開を行うことに注力すべきとの意見の賛否両論がある。
〇 分娩当日の胎児心拍数陣痛図について、回復良好であるため待機可能と判断したことは医学的妥当性がない。
〇 帝王切開を決定してから約3時間後に児を娩出したことは一般的ではない。

事例番号:260059
〇 超音波断層法による胎児、胎児付属物所見において、胎盤の位置や羊水量を記載していないことは、一般的ではない。

事例番号:260058
〇 妊産婦が受診後、妊娠高血圧症候群が背景にあり、検査で異常が認められた状況で、常位胎盤早期剥離を疑わず切迫早産と診断し、子宮収縮抑制剤を投与したことは一般的ではない。
〇 入院時の胎児心拍数陣痛図でレベル4(中等度異常波形)の所見を認めた段階で母体搬送を決定しなかったことは一般的ではないが、妊娠33週の早産域での常位胎盤早期剥離と診断した後に、新生児の蘇生処置を考慮して母体搬送としたことは選択肢のひとつである。

事例番号:260057
〇 一過性徐脈の出現後、助産師が直ちに医師に報告しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 医師に報告することなく看護スタッフがクリステレル胎児圧出法を施行したことも医学的妥当性がない。
〇 生後5分のアプガースコアが1点でNICUを有する医療機関へ連絡が行われたとすれば一般的であるが、NICUの診療録によると当該分娩機関から応援依頼されたのは生後20分でありそのタイミングは一般的ではない。
〇 新生児蘇生アルゴリズムに沿って対応が行えるよう物品が整備されておらずバッグ・マスクによる人工呼吸が行われなかったことは一般的ではない。

事例番号:260056
〇 陣痛発来後約41時間の胎児心拍数陣痛図で陣痛が遠のいていると判断し、経過観察したことは選択肢としてあり得る。自然破水から約2時間分娩監視装置を装着しなかったことについては、胎児の状態が急激に悪化する可能性も高いことから一般的ではないという意見と、事例発生当時は必ずしも推奨されていなかったという意見の賛否両論がある。
〇 自然破水から約2時間後に開始された胎児心拍数陣痛図では、開始直後から変動一過性徐脈や遅発一過性徐脈が認められ、その後、頻脈や基線細変動の減少が認められているが、看護スタッフは変動一過性徐脈がみられると判断し、約2時間医師に報告せずに経過観察したことは一般的ではない。
〇 吸引分娩実施時の適応と要約は満たしているが、クリステレル胎児圧出法を併用した吸引分娩を40分間行ったことは一般的ではない。
〇 吸引分娩後、胎児心拍数が回復したと判断して、その後40分間、児娩出まで自然に分娩経過をみたことは、急速遂娩の考えと矛盾しており、医学的妥当性がない。

事例番号:260055
〇 来院後のノンストレステストはノンリアクティブであるが、医師記録に記載のとおり、約2時間30分後に再診することとして帰宅させたのであれば、選択されることの少ない対応であるが選択肢としてあり得る。一方、家族からみた経過のとおり、再診を指示せず、心配であれば来院すればよいと提案したのであれば、一般的ではない。

事例番号:260054
□ 学会・職能団体に対して
母児間輸血症候群の病態、原因等の解明について
母児間輸血症候群の発症について、その病態、原因、リスク因子の解明が望まれる。
母児間輸血症候群の胎児心拍数陣痛図の研究について
胎児心拍数基線細変動の変化や一過性頻脈の変化など、母児間輸血症候群に特有の胎児心拍パターンの有無について、胎児心拍数陣痛図の特徴を研究することが望まれる。
胎動の評価について
胎動の自覚は、ある程度信頼される胎児健常性の指標である。しかし、妊産婦が自覚する胎動に関し確立した評価方法はない。胎動カウント方法の検討を行い、その実施の有用性の有無について検討することが望まれる。

事例番号:260053
□ 学会・職能団体に対して
本事例では、胎児発育不全が常位胎盤早期剥離の原因の一つと考えられる。胎児発育不全における常位胎盤早期剥離の発生について、妊娠週数、胎児発育不全の程度、その他の異常との関連を調査することが望まれる。

事例番号:260052
〇 胎児心拍数陣痛図ではレベル5(異常波形Ⅲ)と判断される状況で、看護スタッフが医師に連絡をしなかったことは医学的妥当性がない。

事例番号:260051
〇 9分程持続する高度遷延一過性徐脈が出現した時点で、少なくとも医師に連絡し、ベッドサイドに呼ぶべきところを経過観察していたことは、一般的でない。
〇 その後も、高度変動一過性徐脈と頻脈があり、また基線細変動の減少をともなった状態で、経過観察をしていたことは基準から逸脱している。
〇 実施した蘇生処置および児の状態の記録が不十分であることは一般的ではない。

事例番号:260050
〇 妊娠40週2日の胎児心拍数陣痛図で軽度変動一過性徐脈、並びに高度遅発一過性徐脈を認めるレベル3の状態で、2日後の妊婦健診まで経過観察としたことは一般的ではない。
〇 入院から帝王切開による分娩までに1時間43分を要したことは一般的ではないとの意見と、急性胎児機能不全とは判断されないことから一般的であるとの意見がある。

事例番号:260049
□ 学会・職能団体に対して
胎動減少への対応について
妊産婦全員が胎動について関心を持ち、また胎動減少を認識した場合は医療機関に連絡する等の対応ができるような保健指導を周知することが望まれる。
胎盤病理組織学検査について
特異的な胎盤病理所見である事例を蓄積して、病態学的視点から調査研究を行うことが望まれる。

事例番号:260048
〇 妊娠29週に骨盤位のための外回転術を実施したことは、一般的ではない。
〇 妊娠41週6日胎児心拍数陣痛図をリアシュアリングと判断し、分娩監視装置を終了し、再装着するまでの約4時間、ドップラ法にて間欠的胎児心拍数聴取を行ったことは一般的であるという意見と、状況を考慮すると一般的でないとする意見の賛否両論がある。

事例番号:260047
〇 当該分娩機関において、児頭骨盤不均衡を疑う状態で、超音波断層法による児の計測や児頭回旋の確認、骨盤計測等の評価を行わなかったこと、オキシトシンの投与を開始したことは一般的ではない。
〇 オキシトシンの投与方法については、溶解液にマルトース注射液を使用したこと、開始時投与量が30mL/分であったことは基準から逸脱している。
〇 胎児機能不全が疑われる状態でオキシトシンの投与を継続したことは医学的妥当性がない。
〇 吸引分娩実施の条件を満たさない状況で吸引分娩術を施行したこと、10回に及ぶ吸引術を行ったことは医学的妥当性がない。

事例番号:260046
〇 胎児心拍数陣痛図はレベル3~4の状態でオキシトシンによる陣痛促進を始めたことは基準から逸脱している。
〇 オキシトシンの投与開始量は基準内であるが、陣痛促進開始後16分で増量したことは基準から逸脱している。
〇 吸引分娩の要約(条件)を満たしているが、分娩前31分よりも前に急速遂娩の適応があることから、分娩前29分から急速遂娩として吸引分娩を試みたことは一般的ではない。
〇 吸引分娩終了後に、鉗子分娩や帝王切開を行わずにクリステレル胎児圧出法を11分間にわたって行ったことは一般的ではない。

事例番号:260045
□ 学会・職能団体に対して
GBSの迅速かつ、確実なスクリーニング方法の開発、導入などの検討ならびにGBS検査の検体採取方法について産婦人科診療ガイドライン-産科編のAnswerに採取部位の記載についての検討が望まれる。

事例番号:260044
□ 学会・職能団体に対して
一絨毛膜二羊膜性双胎における脳性麻痺発症例の蓄積を行い、その発症予測因子となる胎児評価法、さらにその予防対策の研究が望まれる。

事例番号:260043
〇 採取した臍帯血が動脈であったか静脈であったかが不明であるというのは一般的ではない。

事例番号:260042
〇  胸骨圧迫およびアドレナリン投与を行ったことは一般的であるものの、人工呼吸開始後、より早い時期に開始することが推奨されており、時期については一般的ではない。

事例番号:260041
〇 妊娠37週0日に尿蛋白(3+)との所見を得て、定量評価をしていないことは一般的ではない。
〇 頭痛に対してクロルプロマジン塩酸塩を筋肉注射したことは、一般的ではない。
〇 基線細変動の減少や軽度遅発一過性徐脈を判読することができず、待機的管理を行ったことは、一般的ではない。
〇 生後、低血糖時にブドウ糖の哺乳で血糖の上昇がみられない状況で、点滴によるブドウ糖の補充をしなかったことは一般的ではない。

事例番号:260040
〇 妊娠39週6日に当該分娩機関を受診した際、一時帰宅としたことは一般的であるという意見と、入院管理等の監視強化を図る必要があるという意見の賛否両論がある。
〇 胎児心拍数陣痛図上、レベル2~3(亜正常波形~軽度異常波形)の状況での医師の判読と対応は基準内である。
〇 レベル4(中等度異常波形)の状況で医師が帝王切開の準備を検討せず経過観察としたことは基準から逸脱している。その後、レベル3に相当する所見が認められるものの、再びレベル4の所見が続いていると判断される状況で助産師が医師に報告を行わなかったこと、医師が急速遂娩の準備を検討せず経過観察としたことも基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数陣痛図上、遷延一過性徐脈を認めており胎児の更なる状態の悪化が予測できる状況で、子宮収縮薬による陣痛促進を図ったことは一般的ではない。その後の分娩進行度、および胎児心拍数陣痛図所見が悪化している状態で、児娩出まで急速遂娩の処置を施行しなかったことは基準から逸脱している。

事例番号:260039
〇 分娩誘発についての説明内容と同意に関する記録がないことは一般的ではない。
〇 妊娠41週3日、胎児健常性に異常を認めた状態で、器械的頸管熟化処置を実施したことは一般的でない。
〇 午前10時58分からの胎児心拍数陣痛図の判読と基線細変動の減少が続いている状況で分娩監視装置を装着せず経過観察としたことは医学的妥当性がない。
〇 また、妊娠41週4日、看護スタッフが基線細変動がないと判読した状況で、医師に報告せず経過観察としたことは医学的妥当性がない。
〇 妊娠41週4日と分娩当日妊娠41週5日の胎児心拍数陣痛図は一貫して心拍数基線は頻脈で、基線細変動は減少または消失し、高度遅発一過性徐脈が出現している。この状況で急速遂娩を施行せずに頸管熟化処置後の経過観察としたことは劣っている。

事例番号:260038
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図を記録後15分でノンリアクティブと判断し、その後約1時間経過しても胎児状態に改善が認められない状況で、原因検索および急速遂娩の準備・実行等の対応を再検討せず経過観察したことは一般的でない。

事例番号:260037
〇 搬送元助産所が、子宮筋腫合併と分娩時多量出血の既往がある妊産婦を助産所で管理することについて、当該分娩機関と十分協議しなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠36週の骨盤位を助産所で管理したことは一般的ではない。
〇 陣痛発来による入院後、間欠的胎児心拍数の聴取間隔は基準から逸脱している。
〇 また、分娩監視装置を保有しているにもかかわらず、羊水混濁を認め分娩の進行がみられない状況で間欠的胎児心拍聴取のみであったことは一般的ではない。
〇 また、当該分娩機関と協議することなく分娩管理を続けたことは、基準から逸脱している。
〇 胎児徐脈確認後、分娩の進行状態の確認を行わなかったことは一般的ではない。
〇 新生児蘇生および児の状態について、詳細な記録がないことは一般的ではない。

事例番号:260036
〇 子宮口全開大の25分後からの高度遅発一過性徐脈を認識していなかったとすれば一般的ではない。〇 分娩第Ⅱ期開始から約3時間半経過し胎児心拍数陣痛図が中等度異常波形となった時点で、分娩方法の見直しを行わず子宮収縮薬の投与を継続し経過観察としたことは基準から逸脱している。

事例番号:260035
〇 遅発一過性徐脈が頻発している状況でオキシトシン投与を継続したことは一般的ではない。
〇 血性羊水がみられる状況で、児頭の位置が鉗子分娩適位とする目的でクリステレル胎児圧出法を行う方針としたことは一般的ではない。
〇 生後10分の経皮的動脈血酸素飽和度の上昇がみられない時点で新生児科医への応援要請を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:260034
□ 学会・職能団体に対して
新生児脳梗塞および出血性脳梗塞について
早急に、新生児脳梗塞という疾患概念、およびその管理方法についての調査研究を進めることが望まれる。

事例番号:260033
〇 一時的に分娩監視装置装着による胎児監視を中断したことについては、その直前に変動一過性徐脈を認めているので監視を強化すべきであるとする意見と、変動一過性徐脈の波形から低酸素血症が疑われる波形ではないので選択肢としてありうるという意見の賛否両論がある。

事例番号:260032
〇 入院時の胎児心拍数陣痛図を医師、助産師ともに一過性頻脈があると判読したこと、および医師が胎児機能不全はなく「Well beingと判断」(「原因分析に係る質問事項および回答書」の記載)し、分娩監視装置を終了し経過観察したことは一般的でない。

事例番号:260031
〇 児が低酸素状態という緊急性の高い状況において、術前に胸部レントゲンや心電図を行ったことについては、母体の安全を考慮し一般的であるとする意見と、一刻も早い娩出のためにそれらの検査を省略する方が一般的であるとする意見の賛否両論がある。

事例番号:260030
〇 クリステレル胎児圧出法を実施したことは、急速遂娩の手段として有用性があるとする意見と、胎児の状態を悪化させる恐れがあるので控えるべきとする意見があり医学的妥当性には賛否両論がある。

事例番号:260029
〇 搬送元分娩機関において、胎児発育評価について胎児推定体重を測定しなかったことは一般的ではない。

事例番号:260028
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。

事例番号:260027
□ 学会・職能団体に対して
本事例のように、妊娠中の健診と健診の間に起こった出来事が脳障害に関連したと推測される事例を蓄積して、今後、どのような対策を行うかについて検討することが望まれる。また、このような事例を産婦人科医が共有することが重要である。胎動減少などの胎動異常と胎児心拍異常の早期発見のために、ローリスクの妊産婦に対する分娩監視装置装着の開始時期、施行間隔について学会レベルで事例を集積し、検討することが望まれる。

事例番号:260026
〇 妊娠37週4日の妊婦健診時の対応も一般的である。また、その際の胎児心拍数陣痛図においてレベル4(異常波形Ⅱ)の状態で胎児ジストレス疑いと診断し入院を決定したことも一般的であるが、翌日オキシトシンチャレンジテストを施行する方針としたことは一般的であるという意見と、レベル4で胎児の状態の悪化が予測される状況でオキシトシンチャレンジテストを施行する方針としたことは一般的ではないという意見の賛否両論がある。

事例番号:260025
□ 学会・職能団体に対して
脳性麻痺発症に関する胎児心拍数パターンの研究を進め、脳障害発症予防に向けた研究を推進することが望まれる。

事例番号:260024
〇 外来、入院中の胎児発育不全に対する胎児推定体重の追跡、胎児健常性の評価について、血流計測や羊水量を測定したことは一般的であるという意見と羊水過少に対する評価が十分ではないという意見がある。
〇 胎児発育不全を認める場合、分娩中は分娩監視装置を用いて連続的胎児心拍数モニタリングを行うとされており、陣痛発来後連続して分娩監視装置を装着しなかったことは一般的でない。
〇 新生児蘇生ガイドラインでは、気管挿管後も児の状態が改善していない場合は換気が適切であるか確認することになっているが、記録がなく気管挿管後のチューブ先端の位置が適正であるか確認したかどうかは不明であり、蘇生処置の詳細な記録がないことは基準から逸脱している。
〇 出生時の児の状態とアプガースコアの採点とに齟齬があり、アプガースコアの評価は一般的ではない。

事例番号:260023
〇 妊娠37週2日、帝王切開の目的で入院後、リトドリン塩酸塩錠の服用の継続を指示したことは一般的ではない。

事例番号:260022
〇 入院から帝王切開に至るまでの間に、バイオフィジカル・プロファイル・スコアなどの胎児機能不全に関する中枢神経系の異常がないかの確認を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:260021
〇 胎動減少の訴えで来院した妊産婦に装着された分娩監視装置の胎児心拍数陣痛図において、高度変動一過性徐脈の出現から10分以上経過してから医師へ連絡したことについては、一般的ではないとの意見とやむを得ないとの意見の両論がある。
〇 搬送元分娩機関から距離のある当該分娩機関への母体搬送が選択されたことについての医学的妥当性についても賛否両論がある。
〇 気管内に出血がある場合に、サーファクタント溶液で洗浄することもあるとする意見と、サーファクタント溶液では洗浄はしないという意見の両論がある。

事例番号:260020
〇 徐脈を認識した以降も間欠的胎児心拍数の聴取のみを行い、分娩監視装置を装着しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 蘇生に関し、第一に気管挿管を行ったことについては、新生児蘇生法に則していないとする意見がある一方、気管挿管の技術に精通している場合は行ってもよいとする意見があり、賛否両論がある。
〇 蘇生初期処置効果判定が適切に行われなかったことは一般的ではない。

事例番号:260019
〇 遅発一過性徐脈が認められている状況で、分娩監視装置を終了したことは一般的ではない。
〇 クリステレル胎児圧出法を用いたことは、子宮口全開大であり胎児心拍数陣痛図の所見を考慮すると一般的であるという意見と、TOLACであり子宮破裂の危険性があることから一般的ではないという意見があり、その医学的妥当性には賛否両論がある。

事例番号:260018
〇 TOLACの説明を口頭のみで行ったことは一般的ではない。
〇 妊娠38週、子宮口の開大1cmで子宮頸管熟化剤を投与したことは選択肢としてありうる。入院後に、レベル3(軽度異常波形)の状態でその後、分娩監視装置を装着せず、さらに胎児心拍数聴取を行っていないことは医学的妥当性がない。
〇 分娩までの時間を考慮し、さらにTOLACのリスクを説明した上で経腟分娩としたことは選択肢のひとつである。
〇 クリステレル胎児圧出法を用いたことは、子宮口全開大であり胎児心拍数陣痛図の所見を考慮すると一般的であるという意見と、TOLACであり子宮破裂の危険性があることから一般的ではないという意見があり、その医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 アプガースコアの点数評価方法は基準から逸脱している。

事例番号:260017
〇 生後、パルスオキシメーターによる測定なしに酸素投与したことは選択されることの少ない対応である。
〇 生後40分に沐浴を行ったことの医学的妥当性は不明である。
〇 早期母子接触中の管理は基準から逸脱している。
〇 児に対して気管挿管を行ったことは基準から逸脱している。

事例番号:260016
〇 午前3時4分からの胎児心拍数陣痛図の医師の判読は基準から逸脱している。
〇 レベル3(異常波形Ⅰ)の状況で、看護スタッフが医師へ報告したことは一般的であるが、医師が胎児心拍数モニタリングを継続することによる経過観察の指示をしたこと、また急速遂娩の準備を進めなかったことは基準から逸脱している。
〇 受診時より胎児心拍数陣痛図の異常を認めていた状況で診療録に胎児心拍数陣痛図の判読の記載がないことは一般的ではない。
〇 また、レベル5(異常波形Ⅲ)の状況で看護スタッフが医師に報告せず経過観察としたことは一般的ではない。
〇 塩酸リトドリンの投与方法は一般的ではない。
〇 帝王切開術前にトラネキサム酸を投与したことは一般的でない。
〇 痙攣を疑う所見がみられた状況で、看護スタッフが経過観察としたことは選択されることは少ない。
〇 医師は痙攣と認識していた状況で、速やかに小児科医に診察を依頼せず、当該分娩機関で経過観察としその後搬送したことは医学的妥当性がない。

事例番号:260015
〇 子宮収縮剤投与にあたり文書による説明と同意を行わなかったこと、輸液ポンプを使用しなかったこと、連続的な胎児心拍モニタリングを行わなかったこと、初期投与量・増加量については基準から逸脱している。
〇 胎児心音が回復しないため胎児ジストレスと判断し、吸引分娩を実施したこと、2回の吸引分娩で分娩に至らなかったため、速やかに分娩を終了させるため他の急速遂娩術を実施することなく、そのまま経過を観察したことは医学的妥当性がない。
〇 新生児仮死の出生から蘇生、NICUへの搬送までの児の状態について、看護記録のみで医師の診療録の記載が不十分であることは医学的妥当性がない。
〇 出生時仮死がある児を、翌朝まで様子観察としたことは医学的妥当性がない。

事例番号:260014
〇 ハイリスクの妊産婦において妊娠後期にNSTを実施せずに超音波による評価指標で胎児の健常性を評価したことは一般的ではない。
〇 妊娠39週4日の妊婦健診で羊水量の減少を認めた際に、当日NSTを実施せずに3日後に再診してNSTを実施する予定としたことは選択されることが少ない対応である。
〇 妊娠40週0日の胎児心拍数陣痛図に異常所見を認めた時点で入院精査としなかったことは医学的妥当性がない。
〇 妊娠40週2日のハイリスクの妊産婦の入院時に、分娩監視装置装着後20分以上、胎児心拍数陣痛図の確認・評価をせずに経過をみていたことは一般的ではない。

事例番号:260013
〇 滑脱を繰り返しながら吸引分娩を継続することは一般的ではない。
〇 予測される児の状態への対応として、蘇生担当の小児科医への連絡のタイミングは一般的でない。

事例番号:260012
〇 非妊娠時のBMIが27.5の妊産婦に対し、50g糖負荷試験を行わなかったことは一般的ではない。
〇 妊娠高血圧症候群で尿蛋白が陽性となっている状態で、確認検査として蛋白/クレアチニン比検査、もしくは尿中蛋白定量法を行わなかったことは一般的ではない。
〇 腹部緊満がみられたことから子宮収縮抑制薬を投与したことについては、一般的であるという意見と、妊産婦は重症妊娠高血圧腎症であり、転院後、高血圧は軽快したものの、尿蛋白、低蛋白血症を認め、子宮収縮抑制を行う適応は認められないため一般的ではないという意見との賛否両論がある。
〇 リトドリン塩酸塩を投与したことは選択されることは少ない。
〇 PT、APTT以外の凝固・線溶系の検査を行わなかったこと、および、それによる病態評価を経時的に行わなかったことは一般的ではない。
〇 常位胎盤早期剥離ハイリスク妊産婦に出血、破水、腹痛が出現した際に、腹部超音波断層法を行わなかったこと、腹痛に対してリトドリン塩酸塩を増量したことは一般的ではない。
〇 帝王切開の手術前の予防的抗菌薬投与については、一般的であるという意見と、臍帯結紮後に母体に抗菌薬を投与することが一般的であり、手術前投与は一般的ではないという意見との賛否両論がある。
〇 アナフィラキシーショックが疑われた際に、分娩監視装置を装着しなかったことは一般的ではない。
〇 フィブリノーゲンが50mg/dL未満の状態で、新鮮凍結人血漿の急速投与の準備を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:260011
〇 入院後、分娩監視装置を装着し連続監視を行ったこと、助産師がその胎児心拍数陣痛図を判断し分娩監視装置を外したこと、その後の胎児心拍数監視を間欠的胎児心拍数聴取により行ったこと、およびその間欠的胎児心拍聴取の間隔はいずれも基準内であるという意見と、胎児心拍数波形の分類ではレベル2(亜正常波形)の状況であり、連続監視および医師への報告をしなかったことは選択されることの少ない対応であるという意見の両論がある。
〇 分娩室入室後の胎児心拍数陣痛図からは、胎児の状態悪化が示唆される状況であり、助産師が直ちに医師へ連絡しなかったことは医学的妥当性がない。
〇 新生児仮死で出生した状況で臍帯動脈血液採取および血液ガス分析を行わなかったことは一般的でないという意見と、児の対応に掛っていた状況を踏まえるとやむを得ないという意見の両論がある。

事例番号:260010
〇 一絨毛膜二羊膜双胎の一児が妊娠25週時に子宮内胎児死亡となり、生存児の中大脳動脈の収縮期最高血流速度が1.5MoM値を超えたことを確認しているにもかかわらず、児の出生後にPVLの有無についての検索を行わなかったことは選択されることは少ない対応である。

事例番号:260009
〇 保護者からの情報に基づくと、妊娠38週4日の破水感の訴えに対して、破水を診断したことは一般的であるが、診療録に記載をしなかったことは一般的ではない。
〇 分娩監視装置装置を装着せずに経過観察としたことは一般的ではない。

事例番号:260008
□ 学会・職能団体に対して
新生児期の無呼吸、ALTE(乳幼児突発性危急事態)等の研究について
新生児期の無呼吸、ALTE等についての病態の解明に関する研究を推進することが望まれる。
新生児期の無呼吸、ALTE等の周知について
医療従事者に対して新生児期の無呼吸、ALTE等に対する注意喚起や知識の普及、周知を行うことが望まれる。
「『早期母子接触』実施の留意点」の周知について
分娩後の早期母子接触を安全に行うために、2012年10月に日本周産期・新生児医学会、日本産科婦人科学会などが公表した「『早期母子接触』実施の留意点」について周知することが望まれる。

事例番号:260007
〇 助産師の報告に対して医師は様子をみるよう伝え、経過観察としたことは医学的妥当性がない。
〇 バッグ・マスクによる人工呼吸に先行して胸骨圧迫が行われたことは一般的ではない。

事例番号:260006
〇 来院後、胎動減少の訴えに対して分娩監視装置を装着し、リアシュアリングであることを確認した上で外したことは基準内であるが、その後約5時間30分にわたり胎児心拍聴取を実施しなかったことは一般的ではない。
〇 常位胎盤早期剥離を疑いつつ母体搬送の準備を開始しており、子宮口の開大3cmでレベル5(異常波形Ⅲ)に該当する胎児心拍数陣痛図所見が出現している状態で人工破膜したことは医学的妥当性がない。
〇 その後のリトドリン塩酸塩の投与については、添付文書に常位胎盤早期剥離に対する使用は禁忌と記載されている。
〇 一方、「産婦人科診療ガイドライン-2008」では子宮内胎児蘇生法として投与可とされており賛否両論がある。

事例番号:260005
〇 オキシトシン点滴を継続したまま、胎児徐脈出現から11分後に医師へ報告したことは医学的妥当性がない。
〇 臍帯脱出診断後の対応については、速やかに急速遂娩を行なうことが一般的であり、直ちに急速遂娩を選択せず臍帯の用手還納を試みたことは選択されることの少ない対応である。
〇 アプガースコアの採点と経皮的動脈血酸素飽和度の値や診療録に記載されている児の評価に矛盾があり、アプガースコアの評価は医学的妥当性がない。
〇 出生直後より新生児蘇生が行われていたが、処置の詳細について記載がされていないことは一般的ではない。

事例番号:260004
〇 分娩第Ⅰ期における分娩監視装置の装着間隔は一般的ではない。
〇 急速遂娩が可能な状況で努責を促しながら経過をみたことについては当該分娩機関の判読の通りだとすれば一般的ではないが、家族からみた経過の通りだとすればこの時の胎児心拍数パターンは判読が難しいことからやむを得ない。

事例番号:260003
□ 学会・職能団体に対して
絨毛膜羊膜炎の事例を集積し、妊娠中の検査方法・治療方法・分娩方法等、より確度の高い絨毛膜羊膜炎の診断基準、および管理指針の策定をめざして研究を進めることが望まれる。
なお、本事例は破水から29分での出生であるにもかかわらず重篤な感染症を発症した。
破水以外で起こる上行性感染についての発生機序の解明、管理指針の策定を目指して研究することが望まれる。
また、FIRSならびに新生児のSIRSの発生機序の解明、診断基準、管理指針、治療方法の策定をめざして研究を進めることが望まれる。

事例番号:260002
〇 紹介元医療機関において、家族歴、BMIならびにHbA1c値について、栄養指導にとどまりその後の糖代謝能を評価せず、妊娠中から妊婦の糖代謝異常の改善管理に努めなかったことは一般的でない。
〇 ジノプロストンの投与量および投与間隔は基準内であるが、分娩監視装置装着をもって子宮収縮および胎児心拍数パターンの評価をしなかったことは基準から逸脱している。
〇 オキシトシン投与中に分娩監視装置により連続監視したことは一般的であるが、胎児心拍数パターンの評価を診療録に記載しなかったこと、また陣痛曲線からは過強陣痛であった可能性が示唆される状況で、オキシトシンを増量、継続したことは一般的でない。
〇 初期量、増量の量、増量間隔はいずれも推奨している用法用量を上回っており基準から逸脱している。
〇 分娩誘発に際して文書による同意を得なかったことは一般的でない。
〇 医師が分娩停止と判断し、吸引遂娩術を開始したこと、吸引遂娩術で分娩に至らず鉗子遂娩術を試行し、さらに吸引遂娩術を継続したことは医学的妥当性がない。
〇 肩甲難産と判断したのであればクリステレル胎児圧出法を行ったことは一般的でない。
〇 腟分泌物培養検査未実施妊婦を陽性として取扱っておらず一般的でない。

事例番号:260001
〇 体温低下やチアノーゼがある状態で母児同室が継続されていたとすれば選択されることは少ない対応である。