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原因分析報告書 事例番号270201~270259
事例番号:270259
□ 学会・職能団体に対して
国・地方自治体に対して、妊娠中の B 群溶血性連鎖球菌スクリーニング検査は、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に検査が実施できる制度の構築を働きかけることが望まれる。
※ 「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2014」では、腟分泌物培養検査(GBS スクリーニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域がある。

事例番号:270257
□ 学会・職能団体に対して
脳性麻痺の原因不明症例に関して症例を蓄積し検討することが望まれる。

事例番号:270256
□ 学会・職能団体に対して
母児間輸血症候群の発症について、その病態、原因、リスク因子の解明が望まれる。
胎動の減少、消失に対して、その病態、原因、リスク因子の解明をし、対応についての指針を策定するよう検討すること望まれる。
妊婦が胎動減少を自覚した際の対応や妊婦指導について、より一層周知することが望まれる。

事例番号:270255
□ 学会・職能団体に対して
本事例のように、分娩時に重症の低酸素・酸血症を呈していなくても、乳幼児期に脳性麻痺を発症した事例を蓄積して、疫学的および病態学的視点から調査研究を行うことが望まれる。

事例番号:270254
□ 学会・職能団体に対して
本事例は、妊娠経過、分娩経過、新生児経過に脳性麻痺発症の原因が認められないにもかかわらず、退院後の児にそれを示唆する所見が出現した事例であるが、このような事例についての疫学調査や病態研究は行われていない。
事例集積を行い、その病態についての研究を推進することが望まれる。

事例番号:270253
〇 20 時 35 分以降の胎児心拍数陣痛図の判読(変動一過性徐脈と判読)は一般的ではない。
〇 徐脈出現後の対応(体位変換、超音波断層法)および、急速遂娩として鉗子分娩を行ったことは一般的であるという意見と、その前に胎児心拍数波形(頻脈、基線細変動減少、高度遅発一過性徐脈)がレベル 5(異常波形・高度)を呈している時間帯に急速遂娩を考慮しなかったことは一般的ではないという意見がある。
〇 心拍停止後のアドレナリンの投与を中心とした薬物療法がアルゴリズムに沿って速やかに開始されていないこと、アドレナリンを口腔内投与したことは一般的ではない。

事例番号:270252
□ 学会・職能団体に対して
胎児脳出血および胎児水頭症に関する疫学、病態について調査研究を行うことが望まれる。

事例番号:270251
□ 学会・職能団体に対して
発症機序や発症時期が不詳の脳性麻痺事例の集積と発症機序解明に関する研究の促進および研究体制を整えることが望まれる。
胎児心拍数陣痛図の記録速度を「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2014」で推奨されている 3cm/分とすることを学会員に周知することが望まれる。
また、分娩監視装置を製造、販売している企業に対して記録速度を 3cm/分で規格を統一するよう要望することが望まれる。

事例番号:270250
〇 妊娠 40 週 1 日に分娩の促進を行ったことは一般的である。
〇 子宮収縮薬の使用については、開始量は「子宮収縮薬による陣痛誘発、陣痛促進に際しての留意点:改訂 2011 年版」に則しているが、10 時 55 分に 25 分の間隔で増量したこと、また時間毎に増量する量が推奨量に比して多く、基準から逸脱している。
〇 同意を口頭説明のみで行い、診療録にその記載を行わなかったことは選択されることの少ない対応である。

事例番号:270249
〇 妊娠 36 週 2 日、妊娠 36 週 3 日にインドメタシン坐剤を使用したことは基準から逸脱している。

事例番号:270248
□ 学会・職能団体に対して
早産児におこる脳室周囲白質軟化症の発症頻度や発症機序、管理に関する調査・研究を行うことが望まれる。

事例番号:270247
〇 既往帝王切開後妊娠の妊産婦に対して、妊娠 37 週 1 日に帝王切開を実施したことは基準内であるが、帝王切開を実施する際に口頭での説明のみで、説明内容の診療録への記載や文書による同意書がないことは一般的ではない。
〇 診療録に胎盤重量以外の胎児付属物の所見について記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270246
〇 陣痛開始のため入院した際に、分娩監視装置を装着せずに間欠的胎児心拍数聴取のみを行ったこと、また、入院後約 8 時間に初めて分娩監視装置を装着したことは一般的ではない。
〇 オキシトシンの適応について診療録に記載がないこと、オキシトシンの初回投与量(5 単位 60mL/時間)と増量(20 分後に 120mL/時間に増量)、オキシトシン投与中に間欠的胎児心拍数聴取のみを行ったことは基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数陣痛図では、妊娠 41 週 1 日 11 時 2 分以降に遅発一過性徐脈を認めるが、胎児心拍数を良好と判断し、分娩監視装置を終了したことは一般的ではない。
〇 急速遂娩の方法として、吸引分娩を選択したことは一般的であるが、吸分娩開始から 20 分経過した時点で、鉗子分娩や帝王切開を実行せず、吸引分娩を続行したことは一般的ではない。

事例番号:270245
〇 分娩第Ⅱ期遷延に対して、分娩監視装置で連続モニタリングを行っているが、その所見と評価を診療録に記載していないことは一般的ではない。
〇 新生児蘇生(人工呼吸、胸骨圧迫、気管挿管)を行ったことは一般的であるが、低酸素状態が改善しない状態で継続したことは一般的でない。

事例番号:270244
□ 学会・職能団体に対して
ALTE を含めた出生後早期の呼吸停止に関する実態調査および病態の解明が望まれる。
医療従事者に対して、新生児期の無呼吸、ALTE 等についての知識の普及や注意喚起を行うことが望まれる。
GBS 陽性の妊産婦から出生した新生児は、抗菌薬投与による母子感染予防が行われている場合でも、出生後に状態が急激に悪化することがある。
産科医療関係者へ更なる注意喚起を行うことが望まれる。
国・地方自治体に対して、妊娠中の B 群溶血性連鎖球菌スクリーニング検査は、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に検査が実施できる制度の構築を働きかけることが望まれる。
※ 「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2014」では、腟分泌物培養検査(GBS スクリ-ニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域がある。

事例番号:270243
〇 入院後の胎児心拍数陣痛図で、装着時(5:18)からレベル 4(異常波形・中等度:基線細変動の減少、高度遅発一過性徐脈)からレベル 5(異常波形・高度:基線細変動の消失、高度遷延一過性徐脈)へと変化する所見が認められている状況で、助産師の一連の対応(医師へ報告、乳酸加リンゲル液で血管確保、体位変換、手術室へ移動し酸素投与)は医学的妥当性があるが、一方、医師の来棟時刻は 6:17~6:30 の間とされており、この時間帯まで医師の直接的な対応がなされていないことは一般的でない。

事例番号:270242
〇 陣痛促進にあたって、妊産婦への説明と同意についての内容が診療録に記載されていないことは基準から逸脱している。
〇 オキシトシン増量の有無、吸引分娩開始時の要約と総牽引時間、新生児蘇生に関する詳細内容が診療録に記載されていないことは基準から逸脱している。

事例番号:270241
〇 オキシトシンの使用について口頭で説明し同意を得たこと、オキシトシンを 20-25 分毎に増量したことは基準から逸脱している。

事例番号:270240
〇 妊娠 36 週までの管理は一般的である。妊娠 38 週の健診にて児の推定体重に増加が認められなかったことを経過観察としたことには賛否両論ある。
〇 出生早期から新生児に呼吸障害が認められるが、生後 3 日の 21 時 10 分まで医師が診察しなかったことは医学的妥当性がない。

事例番号:270239
□ 学会・職能団体に対して
原因不明の脳性麻痺症例を蓄積し、未知の原因についての探索が望まれる。
国・地方自治体に対して、妊娠中の B 群溶血性連鎖球菌(GBS)スクリーニング検査は、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に検査が実施できる制度の構築を働きかけることが望まれる。
※ 「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2014」では腟分泌物培養検査(GBS スクリーニング)を妊娠 33 週から妊娠 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域がある。

事例番号:270238
〇 陣痛周期 5 分、子宮口開大 4 ㎝となり硬膜外麻酔を行ったことは一般であるが、硬膜外無痛分娩中に分娩監視装置を連続的に装着しなかったことは一般的ではない。
〇 吸引分娩実施時、児頭が嵌入しているかどうかの確認の記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270237
□ 学会・職能団体に対して
胎児心拍数陣痛図や臍帯動脈血ガス分析値に異常を認めず、さらに出生後の経過にも異常を認めない早産児において、どの程度脳室周囲白質軟化症がみられるのか、また、その発症機序に関する調査・研究を行うことが望まれる。

事例番号:270236
〇 用量 40mL 以下のメトロイリンテルによる器械的頸管熟化処置を行ったことは選択肢のひとつであるが、メトロイリンテルの使用方法(生理食塩水を 50mL 注入)は一般的ではない。
〇 メトロイリンテル挿入時、診療録に説明の同意および臍帯位置に関する記載がないこと、感染リスクに配慮し血液検査を行っていないこと、胎児心拍数モニタリングを連続的に行っていないことは、基準から逸脱している。
〇 徐脈が起こった際の対応については、体位変換や酸素投与、超音波断層法を施行したことは一般的であるが、臍帯脱出の可能性を考慮して、内診・腟鏡診を行わなかったことは一般的ではない。
〇 帝王切開決定から 1 時間以内で児を娩出したことは一般的であるが、児が徐脈となり緊急性の高い状況において、術前検査(胸部レントゲン撮影、心電図) を行ったことについては、賛否両論がある。

事例番号:270235
〇 反復する新生児の嘔吐に対して原因検索や小児科医師による診察依頼を行わなかったことは選択されることの少ない対応である。

事例番号:270234
〇 妊娠 30 週 5 日の外来受診時に、血圧 147/102mmHg 尿蛋白(3+)で、妊娠高血圧腎症の精査、加療を行っていないことは一般的ではない。

事例番号:270233
□ 学会・職能団体に対して
新生児ヘルペスを発症した際に、感染経路を特定するための母体検査法の指針を策定することが望まれる。
症例を集積し、新生児ヘルペスの早期診断法の確立と発症後の後遺症予防法の開発が望まれる。
母児感染が考えられる新生児のウイルス感染が認められた場合には、産科小児科間で情報共有・連携して感染経路を検索し、今後の対策に役立てることが望まれる。

事例番号:270232
〇 高ビリルビン血症の治療の医学的妥当性は不明である。
〇 高ビリルビン血症の治療に関して記録が少ないことは一般的ではない。

事例番号:270231
□ 学会・職能団体に対して
陣痛発来前に発症する胎児中枢神経障害の発症機序解明に関する研究の促進および研究体制の確立に向けて、支援が望まれる。

事例番号:270230
〇 一絨毛膜二羊膜双胎というハイリスク妊娠の管理にあたり、入院診療録において患者の診察や検査に対する評価と判断についてカンファレンス等の記録はもとより医師の診療録記載がほとんどないことは医学的妥当性がない。この点は外来診療録においても同様である。
※ 妊産婦に対して行われた投薬、検査とその結果、および医師の判断について、時刻を含め記録することが必要である。
〇 この帝王切開決定にいたる過程に関する医師の診療記録の記載について、「経腟分娩の適応でない、急速遂娩が必要な症例」という「メモ」記載があるのみで、胎児心拍数モニタリングの所見と判定、評価、治療方針という一連の過程に関する診療録記録は皆無(事後記録もなし)であり、さらに帝王切開術の手術記録もないことは医学的妥当性がない。
※ 妊産婦に対して行われた投薬、検査とその結果、および医師の判断について、時刻を含め記録することが必要である。
〇 一絨毛膜二羊膜双胎の胎盤の血管吻合に関する医師の記載がないことは医学的妥当性がない。

事例番号:270229
〇 搬送元分娩機関において妊娠 34 週 4 日、ノンストレステスト(NST)を 90 分間実施、振動音響刺激(vas)を使用して、基線細変動(+)、一過性頻脈(+)が認められたことから経過観察としたことは賛否両論がある。
〇 当該分娩機関入院時の胎児心拍数陣痛図でサイナソイダルパターンを認められる状況で、緊急帝王切開の準備をして厳重管理することは賛否両論がある。

事例番号:270228
〇 前回帝王切開時の所見が不明のまま経腟分娩(TOLAC)を受諾したことは、一般的ではない。
〇 TOLAC を行うことへの同意書は妊産婦に渡されているが、診療録にその記載がなく、内容が不明であることは基準を逸脱している。
〇 帝王切開既往妊婦の TOLAC の際に、入院時に 40 分間の胎児心拍数陣痛図装着を指示したのみ(印字時刻より装着時間は 45 分間)であり、陣痛発来している状況で胎児心拍数モニタリングを継続して実施しなかったことは、医学的妥当性がない。
〇 分娩進行中に、経腟分娩続行の可否が医師によって一度も検討されていないことは医学的妥当性がない。

事例番号:270227
□ 学会・職能団体に対して
一絨毛膜一羊膜双胎も含めた一絨毛膜双胎一児死亡時の生存児の臨床 的調査は、妊娠 20-22 週以降のものが殆どである。妊娠第 2 三半期の前半 期において一絨毛膜双胎一児死亡となったときの生存児の予後に関して 小児科と協働した調査研究が望まれる。
調査研究によって、妊娠第 2 三半期の前半期で一絨毛膜双胎一児死亡となったときの生存児の出生後脳障害に関する説明や出生後の評価および検査方法について確立されることが望まれる。

事例番号:270226
□ 学会・職能団体に対して
国・地方自治体に対して、妊娠中の B 群溶血性連鎖球菌スクリーニング検査は、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に検査が実施できる制度の構築を働きかけることが望まれる。
※ 「産婦人科診療ガイドライン産科編-2014」では、腟分泌物培養検査(GBS スクリ-ニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域がある。

事例番号:270225
〇 妊娠 40 週 0 日 9 時 2 分に陣痛促進の方針としたことの医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 妊娠 40 週 1 日の陣痛促進前に、既に分娩が遷延しており、また母体発熱を認め、胎児心拍数陣痛図で基線が 160 拍/分以上の頻脈となっていることについて、子宮内感染の可能性を考慮に入れた、陣痛促進再開の可否についての検討がされていないことは一般的ではない。
〇 妊娠 40 週 1 日の印字時刻 9 時 40 分以降の胎児心拍数陣痛図において基線が 160 拍/分以上の頻脈となっており、また分類不能の一過性徐脈(遅発一過性徐脈が疑われる)が出現しており、胎児心拍数陣痛図波形分類でレベル3(異常波形・軽度)の可能性があることに対して、保存的処置の施行、原因検索、急速遂娩の準備を行わずに陣痛促進を続行したことは、選択されることは少ない対応である。
〇 妊娠 40 週 1 日の陣痛促進中の胎児心拍数陣痛図において基線細変動が徐々に減少し、胎児心拍数陣痛図波形分類がレベル 3(異常波形・軽度)からレベル 4(異常波形・中等度)以上に悪化していることに対して、急速遂娩を行わずに経腟分娩の続行を選択したことは、一般的ではない。

事例番号:270224
〇 生後約 10 時間に冷感があり低体温が疑われる状況で、新生児の保温のために妊産婦のもとで管理としたことは一般的ではない。
〇 生後約 10 時間の時点での母児同床については、その詳細について診療録の記載が不十分であり、診療録上からは評価できない。一方、家族からみた経過によれば、母児同床時の対応として深夜に消灯し、傾眠傾向のある妊産婦に対して医療従事者が付き添わずに側臥位で直接授乳を実施したとされており、そのとおりだとすれば、この対応は医学的妥当性がない。
〇 診療録に母児同床中の児のバイタルサインを含む新生児の管理に関する記載がないことは一般的でない。

事例番号:270223
〇 妊娠中の管理は概ね一般的である。しかし、診療録に詳細な記載がないことは一般的ではない。
〇 破水入院時、および分娩経過中に分娩監視装置を装着しているのは一般的であるが、胎児心拍数陣痛図の判読所見の記載がないことは一般的ではない。
〇 新生児の管理については概ね一般的である。しかし、診療録に詳細な記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270222
〇 妊娠 39 週 6 日 22 時 55 分以降の胎児心拍数陣痛図で、高度遅発一過性徐脈が出現した状況で、吸引分娩を決定したことは基準内であるが、吸引分娩開始時の児頭の位置について診療録に記載がないことは一般的ではなく、吸引分娩の要約については評価できない。

事例番号:270221
〇 生後 2 日 15 時に体温 39℃の発熱時に、嘱託医に相談せず、室温と衣服を調整、糖水補給、アンカ除去により経過を観察したことは一般的でない。

事例番号:270219
□ 学会・職能団体に対して
分娩時に重症の低酸素・酸血症を呈しておらず、分娩前に発生した異常が中枢神経障害を引き起こし脳性麻痺を発症したと推測される事例がある。
同様の事例を蓄積して、疫学的および病態学的視点から、調査研究を行うことが望まれる。

事例番号:270218
〇 長期に尿道留置カテーテルを留置し、微熱が認められるにもかかわらず、腟分泌物培養検査、血液検査などの緊急への対応を行わなかったことは一般的ではない。

事例番号:270217
〇 妊娠 38 週 1 日に、頸管熟化処置目的でメトロイリンテルを挿入し、一旦退院としたことは選択されることは少ない。
〇 「原因分析に係る質問事項および回答書」によると、低身長のため陣痛誘導を企図したとされており、その適応に関する医学的妥当性は不明である。
〇 陣痛誘発にあたって、妊産婦への説明と同意についての内容が診療録に記載されていないことは一般的ではない。
〇 硬膜外無痛分娩について、妊産婦への説明と同意についての内容が診療録に記載されていないことは一般的ではない。
〇 子宮口全開大後にレベル 3-4 の胎児心拍数異常が散発(17 時 23 分および18 時 2 分:高度遅発一過性徐脈、19 時 57 分:軽度変動一過性徐脈、22 時 50分:高度遷延一過性徐脈、1 時 15 分:高度遅発一過性徐脈、2 時 19 分:高度および軽度変動一過性徐脈)している状況で、看護スタッフが医師へ報告したことは一般的であるが、分娩第Ⅱ期が約 10 時間におよぶ間に陣痛促進を再開・継続し、経腟分娩の続行を指示したことは一般的ではない。

事例番号:270216
〇 妊娠 39 週 6 日 15 時 20 分の分娩監視装置装着終了後から次に装着する 18時 50 分までの胎児心拍数について記録がないことは一般的ではない。

事例番号:270215
□ 学会・職能団体に対して
早産未熟児の脳室周囲白質軟化症(PVL)の発生機序、予防法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
「日本産科婦人科学会の胎児心拍数図波形の定義」に当てはまらない非典型的な波形を集積し、発生機序や判読分類等の研究を行うことが望まれる。
※ 本事例の胎児心拍数陣痛図において、「日本産科婦人科学会の胎児心拍数図波形の定義」の胎児心拍数波形分類には該当しない非典型的な波形が認められた。

事例番号:270214
〇 羊水過少、胎児発育不全の妊婦に対し、陣痛がほぼ消失している状態で、オキシトシンチャレンジテストもかねて、オキシトシンを投与したことは選択肢のひとつであるが、オキシトシンの使用について、口頭で説明したことは基準から逸脱している。
〇 オキシトシン初回投与量および投与開始から 17 時 15 分までの増量については基準内であるが、17 時 15 分以降の増量間隔は基準から逸脱している。
〇 血圧が高め(139/88mmHg)の妊婦に対し、オキシトシン投与開始 6 時間後に初めて血圧測定を行ったことは基準から逸脱している。
〇 高血圧(187/105mmHg)に対し、ニカルジピン塩酸塩を投与したことは選択肢のひとつであるが、希釈せずにそのまま静脈内投与したことは基準から逸脱している。
〇 胎児発育不全を認める児に血糖測定をせずに経過をみたことは一般的ではない。

事例番号:270213
〇 妊娠 38 週 6 日、5 時に来院した際の対応(内診、分娩監視装置装着)は一般的である。しかし、胎児心拍数陣痛図上、一過性頻脈を認めず、遷延一過性徐脈を認める波形をリアシュアリングと判断し、一旦帰宅させたことは一般的ではない。

事例番号:270212
〇 子宮収縮薬(ジノプロスト)の開始時投与量 20mL/時間は基準内であり、増量間隔は 1 時間-1 時間 30 分であるが、1 回の増量が 20mL であり基準から逸脱している。

事例番号:270211
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
常位胎盤早期剥離について、妊産婦が十分理解できるような保健指導の徹底をはかることが望まれる。
※ 妊産婦は自身による健康管理が重要であるが、万全を期しても、妊娠中には常位胎盤早期剥離のような緊急事態が突然発症することがある。妊婦健診や母親学級などで妊娠各期の異常な症状および妊産婦が変調を認識した際の対応について指導、教育することが重要である。
常位胎盤早期剥離を一次施設で帝王切開とするか、母体搬送とするかの基準を学会等で検討することが望まれる。

事例番号:270210
〇 妊婦健診は一般的であるが、妊娠 5 週、12 週、と 40 週以降を除いて毎回ヘモグロビン値測定を行ったことは、選択されることの少ない対応である。
〇 子宮収縮薬の説明・同意の取得方法(ジノプロストン錠使用時の説明・同意に関する診療録記載なし)は基準から逸脱している。
〇 予定日超過の陣痛誘発のためジノプロストン錠を内服投与したこと、および投与量は一般的であるが、分娩監視装置を連続装着しなかったことは基準から逸脱している。
〇 出生後から哺乳が緩慢で、活気がなく、吸啜時に上下顎が動くなどの症状がみられる状態で、当該分娩機関で生後 3 日まで管理していたことには賛否両論がある。

事例番号:270209
〇 胎児心拍数陣痛図を 1cm/分で記録していたことは一般的ではない。
〇 無痛分娩について説明・同意に関する記載がないことは選択されることの少ない対応である。
〇 子宮収縮薬の使用について説明・同意に関する記載がないことは基準から逸脱している。
〇 陣痛促進のためオキシトシンを投与したことは一般的であるが、胎児心拍数陣痛図上、異常所見が出現した後も子宮収縮薬の投与量を増量したことは基準から逸脱している。
〇 胎児心拍数陣痛図の判読所見について診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 分娩第Ⅱ期の対応(胎児心拍数陣痛図上、異常波形が繰り返し出現している状態で経過観察)、胎児徐脈出現後の対応(約 40 分間、酸素投与のみ施行)は基準から逸脱している。

事例番号:270208
〇 胎児心拍数陣痛図が判読できない状態で経過したことは一般的ではない。
〇 臍帯下垂診断後の対応の医学的妥当性には賛否両論がある。
〇 新生児の評価には医学的妥当性がない。

事例番号:270207
〇 妊娠 36 週 2 日、4 時 51 分に I 児に遷延一過性徐脈が認められた時点で、微弱陣痛の診断でオキシトシンによる分娩促進を行ったことは賛否両論がある。
〇 オキシトシン点滴の開始時投与量と増量法は一般的ではない。
〇 第 1 子の急速遂娩を目的として、子宮底圧迫法を併用したことについては一般的ではない。
〇 Ⅱ児の胎児心拍数が 80-90 拍/分に低下している状況で、オキシトシン点滴を増量したことは選択肢としてあり得る。しかし、増量法については一般的ではない。
〇 第 2 子の分娩様式として、経腟分娩を行ったことは賛否両論がある。

事例番号:270206
〇 分娩誘発に関する説明と同意、ジノプロストを使用した分娩誘発の方法は概ね基準内であるが、ジノプロストの投与後約 5 時間後にメトロイリンテル挿入を併用したことには賛否両論がある。
〇 オキシトシンの投与開始量は基準から逸脱している。
〇 吸引分娩の適応と要約は一般的であるが、方法(牽引回数、牽引時間など)の記載がないことは一般的ではない。

事例番号:270205
〇 妊娠 28 週 1 日、分泌物血色、中量、子宮頸管長 20mm 未満、頸管炎がある状態で退院許可としたことは選択されることは少ない対応である。
〇 子宮収縮薬の投与方法(オキシトシンを 20mL/時間)は基準から逸脱している。
〇 子宮収縮薬使用中の 14 時以降、異常胎児心拍パターン(軽度遅発一過性徐脈)が出現している状況において子宮収縮薬を増量したことは一般的ではない。
〇 18 時 30 分以後、頻回子宮収縮(tachysystole)となり基線細変動は減少~消失、高度遅発一過性徐脈の繰り返し出現後も急速遂娩を考慮せずに経腟分娩としたことは医学的妥当性がない。

事例番号:270204
□ 学会・職能団体に対して
PPHN の発症機序や予防・治療に関する研究を行うことが望まれる。

事例番号:270203
〇 妊娠 36 週 5 日の電話連絡時の対応(搬送元分娩機関、当該分娩機関の診療録および家族からみた経過によると、妊産婦が頭痛、胃痛、嘔吐を訴えている状況で、夜間救急診療所受診を指示したとされている)は一般的ではない。

事例番号:270202
〇 胎児推定体重の大きい妊産婦に対し、分娩の方針について説明し、その内容について診療録に記載していないことは一般的ではない。
〇 分娩第Ⅱ期遷延に対し、胎児心拍数陣痛図を判読しながら経過観察とし、体位変換をしながら努責を続けたのみであったことは選択されることは少ない。

事例番号:270201
□ 学会・職能団体に対して
遅発型 GBS 感染症に対する疫学的調査・予防・診断・治療に対する知見の集積が望まれる。