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原因分析報告書 事例番号280001~280100
事例番号:280100
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発症機序の解明、および予防法や診断法に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:280099
□ 学会・職能団体に対して
国・地方自治体に対して、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に検査が実施できる制度の構築を働きかけることが望まれる。
※ 「産婦人科診療ガイドライン産科編-2014」では、腟分泌物培養検査(GBS スクリ-ニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域がある。
事例番号:280098
□ 学会・職能団体に対して
脳性麻痺発症の原因が不明である事例についての疫学調査や病態研究は行われていない。
事例集積を行い、その病態についての研究を推進することが望まれる。
事例番号:280097
□ 学会・職能団体に対して
一絨毛膜二羊膜双胎における脳性麻痺発症の原因究明と予防、とくにTTTS の診断基準を満たさずに循環の不均衡が原因で発症したと考えられる胎児脳障害に対する研究を強化することが望まれる。
一絨毛膜双胎の場合、最善を尽くしても生存児の神経学的後遺症・周産期死亡のリスクが高いことを、一般の人に周知することが望まれる。
事例番号:280096
□ 学会・職能団体に対して
脳性麻痺発症の原因が不明の事例について集積し、原因や発生機序について、研究の推進が望まれる。
事例番号:280095
〇 帝王切開決定から児娩出までの時間(47 分)は、一般的ではないという意見と、やむを得ないという意見の両方がある。
事例番号:280094
〇 翌日帝王切開を前提とした妊娠 29 週 1 日の双胎妊娠に対し、ベタメタゾンリン酸エステルナトリウムを投与したことは賛否両論がある。
事例番号:280093
〇 子宮収縮薬(オキシトシン)使用にあたって、陣痛促進について文書による説明・同意を得ていないことは一般的ではない。
〇 子宮収縮薬(オキシトシン)使用にあたって、分娩監視装置を連続装着したことは一般的であるが、初回投与量、増量間隔は基準を逸脱している。
〇 妊娠 41 週 0 日、吸引分娩不成功後に帝王切開術へ変更、11 時 40 分に吸引分娩を終了してから児娩出まで約 3 時間 23 分を要したことは一般的ではない。
事例番号:280092
〇 妊娠 29 週 0 日羊水過多の管理として、羊水除去を行ったことは選択肢としてありうる。その際インドメタシン坐剤を使用したことは一般的ではない。
〇 妊娠 29 週 0 日、31 週 0 日で胎児腹水除去を行ったことは選択されることは少ない。
〇 切迫早産の管理として、リトドリン塩酸塩を 50μg/分で投与開始したことは一般的であるが、270μg/分まで増量し使用したことは、基準から逸脱している。
事例番号:280091
〇 妊娠中の管理(妊娠期間中、一度も嘱託医師あるいは嘱託医療機関の診察を指示していないこと、喘息の合併症を認めている本事例を当該助産所のみで管理したこと、妊娠 33 週で骨盤位を認め、妊娠 39 週時骨盤位から頭位へと変わり、胎位が変わりやすい状況で当該助産所で管理を継続したこと)は基準から逸脱している。
〇 妊娠 39 週 5 日の妊産婦からの電話連絡への対応(1 回目の破水の連絡時経過観察としたこと、2 回目の羊水流出多量の主訴の連絡に対し骨盤位を疑っている状況で経過観察としたこと)は誤っている。
〇 入院時破水および足位が判明した時点で嘱託医および嘱託医療機関など高次医療機関に搬送せずに当該助産所で分娩介助することを選択したことは基準から逸脱している。
〇 破水および足位で分娩が切迫している妊産婦に対して、高次医療機関への搬送を行うことが望まれるが、分娩が進行しており搬送中に分娩に至る可能性もあることから、緊急時の処置と判断し当該助産所での分娩介助を行うことは選択肢としてありうるが、その時点で嘱託医および嘱託医療機関など高次医療機関や救急隊、新生児科医の応援を要請せず助産師が一人で分娩を取り扱ったことは劣っている。
〇 重症新生児仮死の新生児に対して、応援を要請せずに家族が蘇生せざるをえない状況にしたことは劣っている。
事例番号:280090
□ 学会・職能団体に対して
妊娠中および分娩時に異常がないにもかかわらず脳性麻痺となった事例を蓄積、研究することが望まれる。
事例番号:280089
〇 常位胎盤早期剥離と診断して母体搬送を決定した後、塩酸リトドリンを持続投与して搬送準備、搬送を行ったことには賛否両論がある。ただし、投与量の記載が診療録にないことは一般的ではない。
事例番号:280087
□ 学会・職能団体に対して
妊娠中および分娩時に異常がないにもかかわらず脳性麻痺となった事例を蓄積、研究することが望まれる。
事例番号:280085
□ 学会・職能団体に対して
胎児期から新生児期に発症する胎児脳梗塞および出血性脳梗塞の原因究明を推進することが望まれる。
事例番号:280084
□ 学会・職能団体に対して
原因不明の脳性麻痺の事例集積を行い、その病態についての研究を推進することが望まれる。
事例番号:280083
〇 妊娠 39 週 4 日 4 時 11 分の胎児心拍数陣痛図所見(基線細変動減少、一過性頻脈なし)で分娩監視装置を終了したことは選択されることは少ない。
〇 オキシトシンの投与開始量は基準から逸脱している。
事例番号:280082
〇 搬送元分娩機関において、診療録に超音波断層法所見等の記載がないことは一般的ではない。
〇 搬送元分娩機関において、妊娠 30 週 6 日破水のため自院にて入院管理としたこと、入院から約 35 時間、分娩監視装置を装着していないことは一般的ではない。
事例番号:280081
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
常位胎盤早期剥離では児の救命が困難な場合や救命されても後遺障害を残す場合がある。この疾患の特徴について広く国民に啓発することが望まれる。
事例番号:280080
〇 破水時および、分娩第Ⅱ期にドップラ法での間欠的胎児心拍数聴取のみ行ったことは一般的ではない。
事例番号:280079
〇 帝王切開当日に母児のみの状況で添い寝や児に乳首の吸啜をさせたことについては賛否両論がある。
事例番号:280077
〇 妊娠 14 週に TOLAC を希望した妊産婦に対し、そのリスクの説明を行い、書面で同意を得たかどうかについて診療録に記載がないことは一般的ではない。
事例番号:280075
〇 妊娠 29 週 6 日の入院以降の超音波断層法所見について、診療録に胎児所見(胎位・推定体重)や羊水量などの記載がないことは一般的ではない。
〇 妊娠 30 週 4 日 7 時 30 分に陣痛開始後、出血の増加や、胎児心拍数異常(78-96 拍/分へ低下し回復に 5 分を要す)を認める状態で、11 時 45 分まで診察をせずにリトドリン点滴の増量のみで経過を見たことは一般的ではない。
事例番号:280074
〇 妊娠 38 週 4 日の外来で実施したノンストレステストの判読所見と評価について診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 妊娠 41 週 1 日に分娩監視装置を装着してからジノプロストン錠の内服を開始したことは一般的であるが、2 錠目から 5 錠目までを分娩監視装置を装着せずに内服としたことは基準から逸脱している。
〇 看護スタッフが、2 時 54 分に「変動一過性徐脈あり、回復スムーズ」と判読し、経過観察としたことは一般的ではない。
事例番号:280073
〇 妊娠 41 週 3 日 14 時 50 分以降の胎児心拍数波形レベル 4 の状態で急速遂娩を考慮せず経過観察したことは一般的ではない。
〇 妊娠 41 週 4 日、胎児心拍数波形レベル 4 の状態が持続している状況で、オキシトシン点滴による陣痛促進を開始したことは医学的妥当性がない。
〇 オキシトシン点滴の投与量を 160mL/時間まで増量したことは基準から逸脱している。
事例番号:280072
□ 学会・職能団体に対して
原因不明の脳性麻痺症例を蓄積し、未知の原因についての探索が望まれる。
事例番号:280071
〇 切迫子宮破裂と診断後に手術室入室まで分娩監視装置を装着していないことは一般的ではない。
事例番号:280070
〇 分娩室入室後、胎児心拍数陣痛図の異常(遅発一過性徐脈および高度変動一過性徐脈の出現)への対応として、酸素投与のみで経過観察としたことには賛否両論がある。
事例番号:280069
〇 妊娠 38 週 3 日 18 時 23 分にオキシトシンを 30mL/時間で点滴開始したこと、その後に胎児心拍数波形レベル 5(異常波形:高度)を示していた状況で、18 時 35 分までオキシトシンの投与を継続したことは、いずれも基準から逸脱している。
〇 吸引分娩が不成功に終わったために、緊急帝王切開を決定したことは一般的であるが、帝王切開決定から児娩出までに 40 分を要していることは一般的ではない。
事例番号:280066
〇 診療録に妊娠 10 週、20 週、30 週、36 週、38 週以外に血圧、尿蛋白、浮腫や胎位の記載がないことは一般的ではない。
〇 妊娠 38 週 6 日にノンストレステストを実施していることは一般的であるが、その判読所見と評価が診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 16 時 20 分に胎児心拍数陣痛図を「胎児心拍数 60-80 拍/分まで 1 分近く下降し回復」と判読し、経過観察としたことは基準から逸脱している。
事例番号:280065
〇 羊水量の変化について診療録に記載がないことは一般的ではない。
事例番号:280064
□ 学会・職能団体に対して
新生児ヘルペス感染症の早期診断法の確立と発症後の後遺症予防法の開発が望まれる。
母児感染の可能性が考えられる新生児のウイルス感染が認められた場合には、産科小児科間で情報共有・連携して感染経路を検索し、今後の対策に役立てることが望まれる。
事例番号:280062
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:280061
□ 学会・職能団体に対して
妊娠中および分娩時に重症の低酸素・酸血症を呈しておらず、四肢の筋緊張異常の原因を特定しえない事例である。同様の事例を蓄積して、疫学的および病態学的視点から、調査研究を行うことが望まれる。
事例番号:280059
□ 学会・職能団体に対して
本事例のように分娩時に重症の低酸素・酸血症を呈しておらず、脳性麻痺を発症したと推測された事例がある。同様の事例を蓄積して、疫学的および病態学的視点から、調査研究を行うことが望まれる。
国・地方自治体に対して、妊娠中の GBS スクリーニング検査は、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に検査が実施できる制度の構築を働きかけることが望まれる。
※ 「産婦人科診療ガイドライン産科編-2014」では、腟分泌物培養検査(GBS スクリ-ニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域がある。
事例番号:280058
□ 学会・職能団体に対して
新生児ヘルペス脳炎の疫学調査を実施し、患者のリスク因子と予防法を明らかにすることが望まれる。
事例番号:280057
〇 帝王切開既往(子宮筋腫核出術同時施行)妊産婦に対する予定帝王切開の実施時期を初診時に妊娠 38 週 1 日に設定したことは、子宮破裂のリスクから可及的に早い時期に設定すべきという意見と、正期産の時期まで待機すべきという意見と賛否両論がある。
〇 家族の希望にて予定日を妊娠 36 週 2 日に変更したことについては、推定児体重が 3000g を超えていること、早産となることについて十分なインフォームド・コンセントを行い、同意を得た上での決定ということであれば選択肢の一つであるという意見と、正期産の時期まで待機すべきという意見と賛否両論がある。
事例番号:280056
□ 学会・職能団体に対して
脳性麻痺発症に関与すると考えられる異常所見を見出すことができない事例を集積し、疫学調査や病態研究等、原因解明につながる研究を推進することが望まれる。
事例番号:280055
〇 胎児心拍数陣痛図の記録速度 1cm/分は一般的ではない。
〇 胎児が高度徐脈の時に、吸引分娩で分娩に至らず、母体搬送を断られ、応援医を待って帝王切開を予定したことは、直ちに再度吸引分娩を行うべきという意見と、準備ができるまで待って帝王切開を行うべきという意見があり、賛否両論である。このような状況下でオキシトシンにより子宮収縮を促進することは医学的妥当性がない。
〇 オキシトシンによる陣痛促進を 5 単位/500ml で 18 滴/分から開始したことは基準から逸脱している。
事例番号:280054
〇 妊娠 38 週 5 日の前期破水に対して、翌朝からメトロイリンテルを用いた分娩誘発を行ったことは選択肢のひとつであるが、挿入前に臍帯下垂がないことを確認しなかったことは基準から逸脱している。
※ 「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2011」によると、挿入する前に臍帯下垂がないことを確認することとなっている。
〇 0 時 27 分に胎児心拍数 60 拍/分台となり、胎児蘇生法(妊産婦を仰臥位から右側臥位とし、深呼吸を促した)を行った後、胎児心拍数は 120 拍/分となり、0 時 36 分に「陣痛発作時胎児心拍数徐脈なし」と判断して経過観察としていることは、一般的ではない。
※ 0 時 20 分頃から胎児心拍数波形分類レベル 3~4 であった。「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2011」には、胎児心拍波形分類レベル 3~4 の場合には、助産師は、医師に報告、あるいは立ち会いの要請や急速遂娩の準備をすることと記されている。
事例番号:280053
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離は、最近の周産期管理においても予知が極めて困難であるため、周産期死亡や妊産婦死亡に密接に関与する。常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:280052
〇 精密持続点滴装置を使用せずにオキシトシン注射液を投与し、投与量の詳細な記載がないことは基準を逸脱している。
事例番号:280051
〇 妊娠 41 週 4 日入院時の子宮収縮薬使用に際しての対応(子宮収縮薬使用の適応の記載がないことおよび口頭による同意を得たこと、分娩監視装置装着前に子宮収縮薬を開始したことおよび初回投与量)は基準から逸脱している。
事例番号:280050
□ 学会・職能団体に対して
妊婦健診や定期的受診の大切さについての教育、指導をより一層行っていくことが望まれる。
事例番号:280049
〇 5 時 02 分からと 7 時 10 分からの胎児心拍数陣痛図において、基線細変動の減少、一過性頻脈の消失、変動および遅発一過性徐脈と判定される胎児心拍数波形であったが、8 時 10 分まで医師に報告せず経過観察としたことは一般的ではない。
事例番号:280048
□ 学会・職能団体に対して
妊娠 33 週から 37 週の B 群溶血性連鎖球菌(GBS)スクリーニング陰性でも GBS 感染(早発型)を発症した症例の集積と解析を行い、感染予防対策の改善に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:280047
□ 学会・職能団体に対して
本事例においては脳性麻痺発症に関与すると考えられる異常所見を見出すことができない。このような事例についての疫学調査や病態研究は行われていないため、事例の集積を行い、原因解明につながる研究が行われることが望まれる。
事例番号:280046
□ 学会・職能団体に対して
妊娠高血圧症候群、胎児発育不全に胎児心疾患を合併している症例の治療は極めて難しい。早産、低出生体重、胎児発育不全の場合の先天性心疾患の治療に関し、周産期関連学会のみならず、小児循環器科、小児心臓外科と連携して検討をすすめ、よりよい治療戦略を策定することが望まれる。
事例番号:280045
〇 前児(第 1 子)が新生児 GBS 感染症に罹患したか否かについて、診療録に記載がないことは一般的ではない。
〇 オキシトシンの初回投与量、増量について診療録に記載がないことは一般的ではない。
事例番号:280044
〇 胎児心拍数陣痛図で胎児心拍数波形異常(頻脈、高度遅発一過性徐脈の反復)を認めた時点で酸素投与を行ったことは一般的であるが、急速遂娩の準備がなされずに経過したことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図で胎児心拍数波形異常(頻脈、高度遅発一過性徐脈の反復、高度遷延一過性徐脈、4 時 30 分以降は基線細変動の減少を伴う)が約 2 時間持続している状況で、急速遂娩の準備を行わずに 4 時 48 分からオキシトシン投与を開始したこと、およびオキシトシンによる陣痛促進について文書による説明・同意を得ていないことは、いずれも一般的ではない。
〇 オキシトシン使用の管理(溶解方法、投与開始量、増加量、増加間隔)は基準から逸脱している。
〇 吸引分娩実施時の詳細な記載がないことは一般的ではない。
〇 高度遅発一過性徐脈が認められてから約 3 時間後、急速遂娩を考えて吸引分娩を選択した状況で帝王切開の準備がなされておらず、吸引分娩を実施した後帝王切開に至るまで時間を要していることは選択されることの少ない対応である。
〇 新生児蘇生に関して、マウスツウマウスを行うことは一般的ではない。
〇 搬送までの状況について詳細な記録がないことは一般的ではない。
事例番号:280043
□ 学会・職能団体に対して
分娩前に発症した異常が中枢神経障害を引き起こしたと推測される事例について集積し、原因や発生機序について研究の推進が望まれる。
事例番号:280042
□ 学会・職能団体に対して
絨毛膜羊膜炎および胎児の感染症や高サイトカイン血症は脳性麻痺発症に関係すると考えられているが、そのメカニズムは実証されておらず、また絨毛膜羊膜炎の診断法、治療法はいまだ確立されていない。これらに関する研究を推進することが望まれる。
胎児心拍数陣痛図や臍帯動脈血ガス分析値に異常を認めず、さらに出生後の経過にも異常を認めない早産児において、どの程度脳室周囲白質軟化症がみられるのか、また、その詳しい発症機序に関する調査・研究を行うことが望まれる。
事例番号:280041
□ 学会・職能団体に対して
研究・調査について遅発型 GBS 感染症に対する疫学的調査・診断・治療に対する知見の集積が望まれる。
新生児の GBS 感染症発症時の感染経路検索について妊産婦由来 GBS の莢膜型判定は、将来の予防法の確立・研究のために有用であることから、本検査の有用性について検討することが勧められる。
事例番号:280040
□ 学会・職能団体に対して
本事例のように、中枢神経障害の原因の特定が困難な事例を蓄積して、疫学的および病態学的視点から調査研究を行うことが望まれる。
事例番号:280039
□ 学会・職能団体に対して
脳性麻痺発症に関与すると考えられる異常所見を見出すことが出来ない事例を集積し、疫学調査や病体研究等、原因解明につながる研究を推進することが望まれる。
国・地方自治体に対して、妊娠中の B 群溶血性連鎖球菌スクリーニング検査を、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に実施できる制度を構築するよう働きかけることが望まれる。
※「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2014」では、腟分泌物培養検査(GBS スクリ-ニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域がある。
事例番号:280038
〇 入院後、帝王切開の決定まで 1 時間 30 分を要したこと、帝王切開決定から児娩出まで 2 時間 22 分を要したことについては賛否両論がある。
事例番号:280037
〇 頻回(陣痛周期 2-3 分)に陣痛発作を認める妊産婦に対して、21 時 35 分から 23 時 15 分の間、胎児心拍を確認せず様子観察としたことは選択されることは少ない。
〇 23 時 15 分からレベル 3「異常波形(軽度)」の胎児心拍異常を認める状況で看護スタッフの対応(即座に医師に連絡せず様子観察としたこと、分娩監視装置を外したこと)は一般的ではない。
事例番号:280036
□ 学会・職能団体に対して
妊娠中および分娩時に異常がないにもかかわらず脳性麻痺となった事例を蓄積、研究することが望まれる。
国・地方自治体に対して、妊娠中の B 群溶血性連鎖球菌スクリーニング検査を、ガイドラインで推奨する時期に公的補助下に一律に実施できる制度を構築するよう働きかけることが望まれる。
※ 「産婦人科診療ガイドライン産科編-2014」では、腟分泌物培養検査 (GBS スクリ-ニング)を妊娠 33 週から 37 週に実施することを推奨しているが、検査費用の公的補助制度によって同時期の実施が難しい地域がある。
事例番号:280035
□ 学会・職能団体に対して
一絨毛膜二羊膜双胎の場合、最善を尽くしても生存児の神経学的後遺症・周産期死亡のリスクが高いことを、一般の人に周知することが望まれる。
一絨毛膜二羊膜双胎における脳性麻痺発症の原因究明と予防に対する研究を強化することが望まれる。
事例番号:280034
〇 妊娠 34 週 6 日に実施したレントゲン撮影は、医学的妥当性がない。
〇 妊娠 37 週 4 日 0 時以降に装着した胎児心拍数陣痛図において、基線細変動の減少もしくは消失、および高度遅発一過性徐脈が出現しており、胎児機能不全に対し急速遂娩術を実施せず、保存的治療のみで経過観察としたことは一般的ではない。この時点でのリトドリン投与は医学的妥当性がない。
事例番号:280033
〇 硬膜外麻酔を開始した直後に分娩監視装置による胎児状態の把握と子宮収縮の確認を行わない状況で、ルーティンに子宮収縮薬(オキシトシン)投与を開始することは一般的ではない。
〇 陣痛促進にあたって、妊産婦への説明と同意についての内容が診療録に記載されていないことは一般的ではない。
〇 オキシトシンの投与方法について、開始時投与量 30mL/時間で開始したことは基準から逸脱している。
〇 新生児蘇生(バッグ・マスクによる人工呼吸)は一般的であるが、アドレナリン投与方法は一般的でない。
事例番号:280032
〇 陣痛促進を施行したこと、また、その方法に関しては一般的であるが、診療録に薬剤の使用目的や患者への説明内容、指示内容を記載していないことは一般的ではない。
〇 18 時 18 分の時点で、胎児蘇生を開始した際、子宮収縮薬を減量または中止せずに増量を続けたことは医学的妥当性がない。
事例番号:280031
〇 妊娠 30 週 2 日に一絨毛膜二羊膜双胎両児の基線細変動消失、第 2 子(当該児)の遅発一過性徐脈、超音波断層法による胎児心拍数下降のため緊急帝王切開を行ったことは一般的であるという意見と妊娠 30 週 0 日から基線細変動が減少していることからもっと早く帝王切開を行うべきという意見の賛否両論がある。
事例番号:280030
〇 妊娠 38 週から 41 週のノンストレステストの記録が保存されず、またノンストレステストに対する判断が診療録に記載されていないことは一般的ではない。
〇 妊娠 41 週 1 日入院時より胎児心拍数波形レベル 3 ないし 4(異常波形軽度-中等度)の所見がみられることへの対応として 21 時 10 分に、分娩監視を中止したことは一般的ではない。
〇 胎児心拍数陣痛図において前日から異常波形がみられ、妊娠 41 週 2 日当日にもレベル分類 3-4 の異常波形が出現している状況で、オキシトシンによる陣痛促進を行ったことは一般的ではない。
〇 オキシトシンの開始時投与量が 20mL/時間であったことは基準から逸脱している。
〇 妊娠 41 週 2 日のオキシトシン使用中レベル 4(異常波形中等度)の異常波形が出現していることに対し経過観察にとどまったことは一般的ではない。
事例番号:280029
□ 学会・職能団体に対して
性器出血がなくても常位胎盤早期剥離を疑う所見があった場合は、妊産婦自身が異常に気づき、早期に受診することができるよう、教育や指導を行うことが望まれる。
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:280028
□ 学会・職能団体に対して
脳性麻痺発症の原因が不明である事例の集積を行い、原因や病態解明のため、調査、研究を進めることが望まれる。
事例番号:280027
〇 母体搬送決定に至る医師の判断および母体搬送までの経過(当該分娩機関への連絡方法や連絡時刻、連絡内容を含む)について、診療録に記載されていないことは一般的ではない。
事例番号:280026
〇 子宮収縮薬使用の際の同意の方法(口頭での同意)は一般的ではない。
〇 分娩誘発中に分娩監視装置を装着しなかったことは一般的ではない。
事例番号:280025
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、予防方法、早期診断に関する研究を推進することが望まれる。
事例番号:280024
□ 学会・職能団体に対して
大動脈解離は発症頻度が少ないが、発症した場合妊産婦および胎児に対して危機的な状態を招く重篤な疾患であるため、全国規模で実態を調査し、原因究明と早期診断、早期治療についての対策を検討することが望まれる。
事例番号:280023
□ 学会・職能団体に対して
先天性大脳低形成について事例集積を行い、その病態についての研究を推進することが望まれる。
事例番号:280022
□ 学会・職能団体に対して
妊娠経過、分娩経過、新生児経過に異常がないにもかかわらず脳性麻痺となった原因不明の事例を蓄積、研究することが望まれる。
事例番号:280021
〇 妊娠 30 週 4 日の 0 時 15 分以降の胎児心拍数陣痛図の波形について、胎児心拍が十分に検出されていないにもかかわらず、0 時 25 分に分娩監視装置を中止したことについては、一般的ではないという意見と、子宮筋腫などの影響により胎児心拍の確認が困難な状況では選択肢としてあり得るという意見との賛否両論がある。
事例番号:280020
〇 子宮収縮薬使用中、14:16~18:00 頃まで分娩監視装置を装着していなかったことは、一般的でない。
〇 陣痛促進薬(オキシトシン)の開始時投与量は、基準から逸脱している。
事例番号:280019
□ 学会・職能団体に対して
常位胎盤早期剥離の発生機序の解明、および予防法や診断法に関する研究を推進すること望まれる。また常位胎盤早期剥離について、児が救命困難であったり、救命されても脳性麻痺になる危険性があるという現状を広く国民に知らせ、その可能性が疑われた場合には早急に受診するよう、さらに啓発することが望まれる。
事例番号:280018
〇 子宮収縮薬を使用開始した時刻(診療録によれば 11 時 15 分、家族からみた経過によれば 10 時 30 分)において、陣痛周期は平均的であるが(10 分間に 4回)が、1 回ごとの子宮収縮の強さは弱くなったと判断し、子宮収縮薬を使用したことは選択肢としてありうる。子宮収縮薬の投与開始量、投与方法は一般的である。
〇 オキシトシンによる陣痛促進について、文書による説明同意を得ていないことは一般的ではない。
事例番号:280017
〇 妊娠 40 週と 41 週に実施されたノンストレステストの判読所見の記載が診療録にないことは一般的ではない。
〇 妊娠 41 週 4 日で頸管熟化不良(ビショップスコア 3 点)の妊産婦に対し、ジノプロストを用いて分娩誘発としたことは一般的ではない。
〇 妊娠 41 週 6 日 0 時 20 分頃から、胎児頻脈を認め、高度遅発一過性徐脈が繰り返し出現している際の対応(オキシトシン点滴継続、酸素投与不要と判断し経過観察、1 時 15 分から子宮底圧迫法を開始したこと)は一般的ではない。
事例番号:280016
〇 前置胎盤の帝王切開を妊娠 38 週 4 日に予定したことは一般的ではない。
〇 緊急帝王切開当日に帝王切開の説明を行い、同意を得たことは選択されることは少ない対応である。
〇 妊娠 37 週 5 日の 10 時 49 分、11 時 50 分および 12 時 51 分に胎児心拍数陣痛図をリアシュアリングと判読したことは一般的ではない、という意見がある一方で、典型的な波形ではないため判読が難しく、対応が遅れたのはやむを得ないという意見もあった。
事例番号:280015
〇 オキシトシンの開始時投与量(20ml/時間)は基準から逸脱している。
※ 「産婦人科診療ガイドライン-産科編 2008」によると、オキシトシンの開始時投与量は 6-12 ml/時間とされている。
事例番号:280014
〇 妊婦健診全般については一般的な診療が行われているが妊産婦に関する基本情報(既往歴・家族歴など)の記載がないことは一般的ではない。
事例番号:280013
□ 学会・職能団体に対して
双胎間輸血症候群の更なる病態の解析と予防・治療に対する研究を推進することが望まれる。
事例番号:280012
〇 胎児心拍数陣痛図上、16 時 04 分頃からの高度変動一過性徐脈の反復が医師に報告されていなかったことは一般的ではない。
事例番号:280011
〇 子宮収縮薬使用に関するインフォームド・コンセントについて診療録に記載がないこと、オキシトシンの投与方法について、開始時投与量 20mL/時間であること、ジノプロストン錠最終投与から 35 分後にオキシトシンを投与開始したことは基準から逸脱している。
事例番号:280010
〇 帝王切開決定から児娩出までの時間については 、胎児心拍数陣痛図所見(胎児頻脈、基線細変動消失、遅発一過性徐脈が出現)で胎児機能不全を疑っている状況で児娩出まで 2 時間 43 分を要していることは一般的でないという意見と、胎児心拍数陣痛図はすでに中枢神経系障害の存在を強く示唆する所見であり、速やかな急速遂娩を要する状況とは異なることから、この時間経過は選択肢としてあり得るという両方の意見がある。
事例番号:280009
〇 妊娠 38 週 6 日 18 時胎児心拍数陣痛図所見をレベル 3 と判読し、その後分娩監視装置を終了したことは一般的ではない。
〇 妊娠 38 週 6 日 20 時 11 分高度変動一過性徐脈軽度頻発と判読し、超音波断層法、内診を実施し帝王切開の方針としたことは一般的である。しかし、帝王切開の方針としてから児娩出までに 1 時間 23 分要したことには賛否両論がある。
〇 新生児蘇生(気管挿管、人工呼吸、胸骨圧迫)は一般的である。しかし、10 倍希釈アドレナリンの静脈への投与量は一般的ではない。
事例番号:280008
〇 搬送元分娩機関での血圧は妊娠 31 週 143/93mmHg、妊娠 36 週 150/92mmHgと高血圧を認めている(この 2 回の受診の間は B 健診機関で正常血圧であった)。妊娠高血圧症候群の発症に留意すべきであったが、この点について診療録に記載がないのは一般的でない。
〇 搬送元分娩機関において 、入院当日の血圧は 149/91mmHg 、139/88mmHg、145/87mmHg で妊娠高血圧症候群に該当するが、この点に関して診療録に記載がないのは一般的でない。
〇 搬送元分娩機関における硬膜外麻酔を用いた無痛分娩の方法に関して、薬剤の投与量(投与薬剤濃度および初回投与量)は基準から逸脱している。
〇 搬送元分娩機関において、⑷の記載も含めて、入院後からショック状態に陥るまでの医師の診療録記載が皆無であることは基準から逸脱している。なお、診療録の最後に経過のサマリー添付されているが、医師の署名および記載日時の特定がなく、診療録記載として一般的ではない。
〇 搬送元分娩機関において、医師診療記録と同様に、助産師および看護師への医師の指示内容記載も皆無であり、基準から逸脱している。
事例番号:280007
〇 妊娠 36 週 0 日の胎児心拍数陣痛図で、ノンリアシュアリングと判断したこと、子宮内胎児発育遅延、胎児仮死と診断し、帝王切開を決定・実施したことは一般的である。ただし、帝王切開決定の時期がやや遅いとする意見もあった。
事例番号:280005
〇 妊娠 33 週 4 日から妊娠 36 週 0 日までの管理(前期破水が疑われる状態、母体 CRP が陽性、胎児頻脈を認めていた、FGR と診断していた)については、自院で管理することは選択されることは少ないという意見と、感染対策として抗生物質投与を行いながら自院で管理することは選択肢としてあり得るという意見の賛否両論がある。
〇 妊娠 35 週 1 日の再入院後の頻脈に対し、原因検索行なわずに妊娠 36 週 0日に退院としたことは選択されることは少ない。
事例番号:280002
〇 妊娠 31 週以降の輸液療法において、経口摂取ができない場合の長期にわたる輸液療法で、高カロリー輸液に切りかえることなく、またビタミン K を投与せず継続したことの医学的妥当性には賛否両論ある。
事例番号:280001
〇 子宮収縮薬投与中の状態で、連続モニタリングされていないことは基準を逸脱している。
〇 20:20 より、胎児心拍数陣痛図の所見はレベル 4 となり、胎児機能不全の状態で経過観察としたことは、基準を逸脱している。
〇 自院では帝王切開ができないとわかっていながら吸引分娩を実施したことは、一般的ではない。
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