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Q & Areal estate

○ カルテ開示は、具体的にどうすればよいですか。
カルテ開示は、難しいことではありませんので、弁護士を依頼する必要はありません。
@患者本人、A患者本人から依頼を受けた家族、B患者が亡くなっている場合には相続人遺族からカルテ開示を請求することができます。
具体的には、病院の医事課などの窓口へ行き、カルテ開示請求用紙に記入し、本人確認のできる書類を示して、カルテの開示請求を行います。病院にカルテ開示請求用紙がない場合は、インターネットで検索すると、カルテ開示請求書の書式がみつかりますので、それに記入してもよいでしょう。
カルテコピーの受け取りにも病院に行くことになりますが、遠方の場合などは病院に郵送をお願いすることもあります。

開示請求には、閲覧とコピーの方法があります。記録が大量の場合には、まず閲覧してコピーの範囲を絞りこむこともできますし、最小限重要と思われる日時のところだけコピーをもらう方法もあります。

厚生労働省の通知により、病院が開示を求める理由を聞いたり、書かせたりすることはできないことになっています。もし聞かれたら、「厚生労働省の通知はご存じでしょう」と答えてもいいですし、「知りたいから」などと答えてもよいでしょう。

カルテ開示の費用は、各病院により違いますので、医事課などの窓口に聞いてください。見積もりをもらうと良いでしょう。これも、厚生労働省の通知で、実費程度にとどめることになっており、あまりに高額なカルテ費用を定めている病院は問題があります。

コピーができるまでの期間は、各病院により違いますが、4〜6週間程度かかることが多いようです。

カルテ開示請求用紙には「全部」と書いて請求したのに、一部のカルテが抜けていることがあれば、追加請求を行ってください。小出しの開示は不自然で、意図的に行われた場合は隠ぺいしようとした疑いがあります。
外科手術の事故であれば術前検査と術中動画、分娩事故であればCTG記録は欠かせません。

カルテ開示は、「個人情報の保護に関する法律」(令和3年改正)に基づきますので、不当にカルテ開示を拒否されたときは、医師会、あるいは顧問弁護士に開示を拒める場合であるかを確認するよう求めてください。確認後に、開示に応じるはずです。
それでも不当に拒否するようでしたら、@カルテ開示請求書の写し、Aカルテ開示を拒んだ証拠となる書類の写しを証拠として、カルテ開示請求と損害賠償の民事裁判を提訴するとよいでしょう。


カルテは、裁判の事実認定の基礎となります。その意味で、カルテは重要です。
ただ、医療スタッフ側から見た事実を記載したものですので、限界があります。重要な徴候を見逃した事案では、カルテに重要な徴候が記載されていないことの多く、重要な徴候があったことについての立証に壁があります。
また、カルテの記載が少なく、カルテの記載だけでは事実を認定できない場もあります。そのような場合は、医師に説明してもらう場を設けてもらい、カルテに記載されていない経過について説明してもらう必要があります。

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