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○ 損害賠償請求の要件とは何ですか。
法律の条文は、或る事実があると或る効果が生じる、という形になっています。
一定の法律効果を生じるため要求される事実を「要件事実」といいます。
民法709条(不法行為)は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定めています。
不法行為に基づく損害賠償請求権が生じるための「要件事実」は、
@患者が権利又は法律上保護される利益を有していること
A医師等が@の権利又は法律上保護される利益に対する加害行為及びそれについての故意又は過失
B損害の発生及び額
CAの行為とBの損害との因果関係
です。
生命・身体が「権利又は法律上保護される利益」にあたることは明らかなため、それ以外の上記ABCが必要とされます。
医療過誤では、故意は問題にならないので、「過失(注意義務違反)」「因果関係」「損害」の要件を主張立証が必要とされます。
つまり、医師にミスがあっても、「因果関係」「損害」が無ければ、損害賠償責任は生じません。
民事の損害賠償は、民法709条(不法行為)、民法415条(債務不履行)を根拠とします。
民法415条1項(債務不履行)1項は、「債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。」と定めています。
この民法415条1項(債務不履行)も、民法709条とほぼ同様の要件が課せられていると考えられています。
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