○　医療事故・医療過誤・医療ミスの違いはなんですか。
１．　医療事故
医療行為に関連して損害が発生した場合には、故意によるもの、過失によるもの、不可能力によるものの３通りの場合があります。
「過失によるもの」と「不可能力によるもの」をあわせて医療事故と言います。
もともと「医療事故」は、このように広い概念でした。
ところが、「事故調査の対象となる医療事故は何か」について激論が戦わされ、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるものをいう」と定義されるようになりました。

２．医療過誤
医療過誤は、民法の損害賠償の要件を充たすものです。法的に、「過失」、「因果関係」、「損害」が認められるものです。
裁判所が法的な観点から過失、因果関係、損害があると判断するものが医療過誤です。
医療過誤には、医師の医療過誤以外に、看護師の医療過誤（看護過誤）、薬剤師の医療過誤（調剤過誤）なども含まれます。
医療過誤に基づく損害賠償請求訴訟は、医療行為の適否等医学上の知識や判断を必要とする民事訴訟（専門訴訟）です。

３．医療ミス
「医療ミス」は人によって違う意味に用いられていますが、医療上求められる注意を怠ったものの意味で用いられることが多いです。つまり、医療ミスがあるからといっても、必ずしも損害賠償請求はできません。