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最高裁医療判例real estate

最高裁医療判例
〇最判平7・4・25民集49巻4号1163頁

胆のう癌の疑いがあることを本人・家族に説明しなかったことが説明義務違反とならないとした事案

F医師にとっては、Dは初診の患者でその性格等も不明であり、本件当時医師の間では癌については真実と異なる病名を告げるのが一般的であったというのであるから、同医師が、前記三月二日及び一六日の段階で、Dに与える精神的打撃と治療への悪影響を考慮して、同女に癌の疑いを告げず、まずは手術の必要な重度の胆石症であると説明して入院させ、その上で精密な検査をしようとしたことは、医師としてやむを得ない措置であったということができ、あえてこれを不合理であるということはできない。

もっとも、DがF医師の入院の指示になかなか応じなかったのは胆石症という病名を聞かされて安心したためであるとみられないものでもない。したがって、このような場合においては、医師として真実と異なる病名を告げた結果患者が自己の病状を重大視せず治療に協力しなくなることのないように相応の配慮をする必要がある。しかし、F医師は、入院による精密な検査を受けさせるため、Dに対して手術の必要な重度の胆石症であると説明して入院を指示し、二回の診察のいずれの場合においても同女から入院の同意を得ていたが、同女はその後に同医師に相談せずに入院を中止して来院しなくなったというのであって、同医師に右の配慮が欠けていたということはできない。

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