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最高裁医療判例real estate

最高裁医療判例
〇最判昭60・4・9集民144号433頁

薬剤投与と問診義務違反

(一)本件注射と亡Dの死亡との間には因果関係があり、(二)チトクロームCの注射については、それがシヨツク症状を起こしやすい薬剤であり、右症状の発現の危険のある者を識別するには、所論の皮膚反応による過敏性試験は不確実、不十分なものであつて、更に医師による本人及び近親者のアレルギー体質に関する適切な問診が必要不可欠であるということが右死亡事故発生当時の臨床医の間で一般的に認められていた、というのである。したがつて、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいて、右薬剤の能書等に使用上の注意事項として、本人又は近親者がアレルギー体質を有する場合には慎重に投与すべき旨が記載されていたにすぎないとしても、医師たる上告人としては、シヨツク症状発現の危険のある者に対しては右薬剤の注射を中止すべきてあり、また、かかる問診をしないで、前記過敏性試験の陰性の結果が出たことから直ちに亡Dに対して本件注射をしたことに上告人の医療上の過失があるとした原審の判断は、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。

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